きらきらみちのく

かつて東日本旅客鉄道（JR東日本）が保有し、主に青森県内で活躍した観光列車「きらきらみちのく」。この愛称は、その専用車両に対しても使われていました。東北新幹線が八戸まで開業したことを受け、新幹線からの接続列車として、青森県の南部地方と下北地方を結ぶ観光ルートを担いました。車両に描かれたロゴは「き・ら・き・らみちのく」と、間に中黒が入る独特のスタイルでした。この列車は2010年 11月28日、「さよならきらきらみちのく下北」という最終運行をもって引退。使用されていた車両は、後に「リゾートうみねこ」として生まれ変わり、別の路線で活用されることになります。

専用車両の特徴

「きらきらみちのく」の旅を彩ったのは、キハ48形気動車を大胆に改造した3両編成の専用車両でした。具体的にはキハ48形1505、1506、1534の3両が改造され、連結されて運用されました。外観上の大きな特徴は、沿線の風景を存分に楽しめるよう拡大された前面と側面の窓です。これらの窓にはUVカットガラスが採用され、固定式とされていました。

車内の客室は、車両ごとに異なる趣きを持っていました。1号車と3号車には、通路を挟んで2席と1席というゆったりとした配置の回転式リクライニングシートが並び、快適な移動を提供しました。一方、中間車両である2号車はボックスシート主体で、背もたれが高く仕切られた構造は、セミコンパートメントのような空間を生み出し、グループでの利用に適していました。設備面では、1号車と3号車にトイレが設置され、2号車には清涼飲料水の自動販売機も備え付けられていました。

運行ルートとサービス

「きらきらみちのく」は、その目的地に合わせて「きらきらみちのく下北」「きらきらみちのく青森」「きらきらみちのく津軽」「きらきらみちのく八戸」といったように、列車名が変化しました。主な運行エリアは八戸駅を拠点に、大湊駅、青森駅、津軽線の蟹田駅や三厩駅など多岐にわたりました。運行開始当初は八戸駅から大湊駅を経由して蟹田駅までを結ぶルートなどが設定されましたが、時期によって区間は変動し、最終的には2007年3月以降、八戸駅と大湊駅の間での運行に集約されました。

座席の扱いも途中で変更がありました。運転開始時は全車指定席でしたが、2004年頃からは一部の例外を除き、1号車を自由席とし、2号車と3号車を指定席とする形態が一般的になりました。これにより、利用者は旅のスタイルに合わせて座席を選べるようになりました。また、列車内では日本レストランエンタプライズによる車内販売が全区間で実施され、地元のお土産品や駅弁、飲み物などが購入可能でした。

沿革

「きらきらみちのく」は、2002年（平成14年）7月5日に運転を開始しました。当初は八戸～大湊～蟹田間のルートなど、比較的広い範囲で運行されていましたが、同年12月からは津軽線の三厩駅まで乗り入れ、活動範囲をさらに広げました。冬期間には「ふるさと」「思い出」といった名称の臨時列車としても運行され、特に「ふるさと下北号」は毎年のように運転されました。2004年（平成16年）3月には津軽線に乗り入れていた「きらきらみちのく津軽」が、2005年（平成17年）7月には八戸駅終着の「きらきらみちのく八戸」が運行を終了するなど、徐々に運行系統の見直しが進みました。夏のねぶた祭りの時期には、全車自由席の「きらきらみちのくねぶた号」が設定され、人気を博しました。2007年（平成19年）3月18日からは八戸駅～大湊駅間の運行に一本化され、「きらきらみちのく青森」の運転もなくなりました。青森県外での珍しい運用として、2008年（平成20年）3月には岩手県内で「きらきらみちのく椿号」として大船渡線を走行した記録もあります。そして、2010年（平成22年）11月27日・28日に運転された「さよならきらきらみちのく下北」をもって、約8年間にわたる「きらきらみちのく」としての歴史に終止符が打たれました。

主な停車駅（運行終了時点）

八戸駅
三沢駅
野辺地駅
陸奥横浜駅
下北駅
大湊駅

まとめ

「きらきらみちのく」は、JR東日本の観光列車の一つとして、青森県北東部の旅を支えました。その専用車両は、運行終了後「リゾートうみねこ」へと姿を変え、八戸線で引き続き観光輸送に貢献しました。同じくJR東日本が展開した観光列車シリーズには、「リゾートあすなろ」や「きらきらうえつ」などがあり、「きらきらみちのく」もその一員として、多くの利用者に親しまれた列車でした。

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