くりはら田園鉄道線

くりはら田園鉄道線の概要

くりはら田園鉄道線は、宮城県登米市に位置する石越駅から栗原市の細倉マインパーク前駅までを結んでいた鉄道路線です。この路線は、1921年に開通し、当初は軽便鉄道として運行されていました。沿線には美しい田園風景が広がり、地域の交通手段として長年にわたり親しまれてきました。やがて、輸送需要の変化に伴い、経営が厳しくなり、2007年に涙の廃線となりました。

歴史

この路線は1921年に開業し、最初は約9kmの区間で運行されていました。開業当初の軌間は762mmでありましたが、後に1,067mmに改軌され、東北本線と接続するようになりました。電化もされたことで、運行は近代化されましたが、時代の流れとともに乗客数や貨物輸送量は減少していきました。特に1988年に細倉鉱山が閉山すると、貨物輸送が停止し、鉄道会社の経営を苦しめることになりました。

1993年には沿線自治体の手に委ねられて三セク鉄道に移行しましたが、1995年に電化が廃止され、その後も便数が減少する一方でした。最後まで存在感を示していた旧来の信号設備や架線も、徐々にその役目を終え、2007年に全線が廃止となりました。

路線と運行データ

くりはら田園鉄道線の営業キロは25.7km、駅数は16駅ありました。運行は基本的に1〜2時間に1本程度で、大学や高校の生徒が利用することも多く、朝の通学時間帯には臨時便が運行されていました。各駅には必要に応じて駅員が配置されており、地域住民にとって欠かせない交通手段でした。

利用状況と廃線後の状況

くりはら田園鉄道線は、地域の中心を通る重要な路線でしたが、利用客数は年々減少し、特に若年層の乗客が減少しがちな時期が続きました。2003年には宮城県の支援が打ち切られ、最終的に廃線に至ることになりました。

廃線後は、沿線の関連施設の撤去が進められ、昔の面影は少しずつ失われています。しかし、2010年には「くりはら田園鉄道公園」が整備され、地域の歴史への関心を呼び起こそうとする取り組みも行われています。この公園では、かつての車両を使った体験乗車会も開催され、地域の人々や鉄道ファンに愛されています。

動態保存とイベント

くりはら田園鉄道の遺産を活かしたイベントも行われています。「くりでん自作トロッコ全国交流フォーラム」や「くりでん体験乗車会」などが開催され、地域の魅力を発信する機会となっています。さらに、月に一度の軌道自転車乗車会なども行われ、廃線の交通路が今もなお地域に彩りを添える存在となっています。

まとめ

くりはら田園鉄道線は、その長い歴史の中で地域に多くの影響を与えてきました。かつての栄光があった頃の思い出と、現在の保存活動を通して、地域住民や訪れる人々に愛され続けています。鉄道がもたらした地域のつながりと、忘れがたい思い出は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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