こうべ未来都市機構摩耶ケーブル線

摩耶ケーブル線：摩耶山を繋ぐ歴史と眺望のケーブルカー

神戸市灘区の摩耶ケーブル駅から虹駅（公式通称：虹の駅）を結ぶ摩耶ケーブル線は、こうべ未来都市機構が運営する鋼索線（ケーブルカー）です。摩耶山登山ルートの一部を担い、虹駅からは摩耶ロープウェーに乗り継いで摩耶山上へと至るアクセス手段として重要な役割を担っています。摩耶ケーブル線と摩耶ロープウェーを合わせた路線は、公式愛称として「まやビューライン」と呼ばれています。

歴史と変遷

摩耶ケーブル線は、1925年（大正14年）、摩耶鋼索鉄道によって開業しました。当初は摩耶山忉利天上寺への参詣客を主な利用者としていましたが、幾多の困難を経験しています。1938年（昭和13年）の阪神大水害、1944年（昭和19年）の不要不急線としての休止、そして1995年（平成7年）の阪神・淡路大震災による被災と長期休止など、幾度となく運行を中断せざるを得ない状況に直面しました。

震災後の復旧にあたっては、神戸市都市整備公社（現・神戸住環境整備公社）が事業を引き継ぎ、2001年に摩耶ロープウェーとともに運行を再開しました。しかし、利用客数の減少による経営難が課題となり、一時廃止や民営化も検討されました。多くの存続を願う声を受け、神戸市による資産保有を前提とした運営方針転換を経て、2023年4月1日には、摩耶ロープウェー、六甲有馬ロープウェーとともにこうべ未来都市機構に移管され、現在に至ります。

路線データと運行形態

全長0.9kmの路線は、単線2両交走式で、軌間は1,067mmです。2駅（摩耶ケーブル駅と虹駅）で構成され、最大高低差は312.435m、最大勾配は546.5‰に達します。車両は2両編成で、各車両53名乗車可能です。運行間隔は通常20分ですが、多客期には増発されます。所要時間は約5分です。

車両の変遷

摩耶ケーブル線には、これまで3代にわたる車両が活躍してきました。初代車両は1925年から1944年まで運行され、ポール式集電という特徴を持っていました。2代目は1955年の運行再開から2012年まで活躍し、パンタグラフ式集電に変更されました。阪神・淡路大震災後の再開時には、「ゆめあじさい」と「にじあじさい」という愛称が付けられ、それぞれの車両に動物の絵が描かれていました。老朽化のため2012年に引退し、2013年には3代目車両が運行を開始しました。3代目車両は、2代目車両のデザインを踏襲しつつ、蓄電池式への変更や自動ドアの採用など、最新の技術が導入されています。車内放送は、当初は車掌による肉声のみでしたが、現在は日本語と英語の自動放送が導入されています。

アクセスと接続路線

摩耶ケーブル駅へは、神戸市営バスやみなと観光バスが乗り入れています。虹駅（虹の駅）からは摩耶ロープウェーに乗り継ぐことができます。駅舎の屋上にはNHKとサンテレビの神戸灘テレビ中継局が設置されています。

未成線

開業当初の摩耶鋼索鉄道は、春日野道から石屋川を結ぶ電気鉄道や、上野花ノ木から摩耶ケーブル駅への地下鋼索鉄道の敷設計画を有していましたが、1956年に免許が失効しています。

まとめ

摩耶ケーブル線は、摩耶山の自然と歴史を繋ぐ重要な交通手段です。歴史的な経緯、車両の変遷、そして美しい景観など、多くの魅力を持つケーブルカーとして、今後も多くの観光客や地元住民に親しまれていくことでしょう。

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