この河の流れに

『この河の流れに』は、1964年8月3日から8月28日までフジテレビ系『ライオン奥様劇場』枠で放送された連続テレビ映画です。全20回の白黒作品で、記念すべき「奥様劇場」の第1作目にあたります。

舞台は京都、西陣。老舗呉服店「若宮商店」の主人、昌造の突然の死から物語は始まります。残された一人娘のいさ子は、大番頭の古田から店に多額の借金があることを知らされます。幼い頃に母親を亡くしたいさ子は、誰にも相談できず途方に暮れます。そんな彼女に、債権者の秋山が結婚を条件に援助を申し出るのです。

通夜の席で、いさ子は見知らぬ母娘と出会います。母親のキクは祇園の茶屋の女将、娘の京子は舞妓でした。キクは、自分の店を抵当に入れて若宮家の借金を肩代わりすると申し出ますが、いさ子は何が何だかわかりません。事情を尋ねるいさ子に、キクは自分が昌造の妾であり、京子はいさ子の腹違いの妹だと告白します。突然の事実に困惑するいさ子を、京子は冷たい視線で見つめるのでした。

本作は、古い因習に抗いながらも一途に愛を貫く異母姉妹の姿を描いたメロドラマです。香山美子が若宮いさ子を、光本幸子が波島京子を演じ、花柳小菊が京子の母、波島キクを演じています。その他、天田俊明、堀雄二、塚本信夫、明石潮、市川小太夫、江見俊太郎といった実力派俳優が脇を固めています。

キャスト
若宮いさ子：香山美子
波島京子：光本幸子
波島キク：花柳小菊
香月伸也：天田俊明
沢木冬彦：堀雄二
牧恭太：塚本信夫
古田孫兵衛：明石潮
住職延亮：市川小太夫 (2代目)
秋山耕助：江見俊太郎
生野つる枝：三原葉子

スタッフ
原作：吉村公三郎、矢口捷平
脚本：芦沢俊郎
監督：岩間鶴夫
音楽：加藤三雄
プロデューサー：白石吉之助(松竹)、湯沢保雄(フジテレビ)
制作：松竹・フジテレビ

主題歌は藤村真紀が歌う「この河の流れに」（作詞：山上路夫、作曲：加藤三雄）。

大船撮影所によるテレビ映画製作第1回作品であり、平均視聴率9.4％、最高視聴率13.1％（いずれもビデオリサーチ関東地区調べ）を記録しました。

参考資料として、「この河の流れに」シナリオ決定稿、「テレビジョンドラマ」(放送映画出版)があります。

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