こんな風に過ぎて行くのなら

浅川マキによる通算28作目のオリジナル・アルバムとなる『こんな風に過ぎて行くのなら』（読み：こんなふうにすぎてゆくのなら）は、1996年6月26日に発表されました。

この作品は、全10曲を収めていますが、その構成に特徴があります。収録された楽曲のうち6曲は、浅川マキがこれまでに発表してきた自身の楽曲を、新たなアレンジで録音し直したセルフカバー・バージョンとなっています。キャリアを彩る名曲群に、当時の新たなサウンドと演奏陣による息吹が吹き込まれています。

アルバムに収められた全10曲は以下の通りです。

今夜はオーライ: 浅川マキ自身の作詩・作曲による楽曲で、1983年のアルバム『幻の男たち』が初出のセルフカバーです。
埠頭にて: 浅川マキが作詩を手掛け、作曲は飛田一男が担当しています。
SOME YEARS PARST (II): 浅川マキ作詩、飛田一男作曲の楽曲です。タイトルの「Parst」は意図的に用いられた綴りであり、造語として扱われています。
あの男が死んだら: Irving Berlinが作詩・作曲し、浅川マキが日本語詩を付けた楽曲です。1973年リリースのアルバム『裏窓』で既に発表されていたセルフカバーで、「あのひとがしんだら」と読みます。
ネオン輝く日々 (II): こちらも浅川マキ自身が作詩・作曲を手掛けています。
別れ: 浅川マキの作詩・作曲による楽曲で、初出は1972年のライブアルバム『MAKI LIVE』です。このアルバムではセルフカバーとして収録されています。
まだ若くて: 作詩は浅川マキ、作曲は後藤次利による楽曲です。1983年のアルバム『WHO'S KNOCKING ON MY DOOR』に収められていた楽曲のセルフカバーとなります。
Mid-Channel: 浅川マキ作詩、後藤次利作曲による楽曲です。
コントロール: こちらも浅川マキ作詩、後藤次利作曲の楽曲です。1983年のアルバム『WHO'S KNOCKING ON MY DOOR』からのセルフカバーです。
こんな風に過ぎて行くのなら: アルバムのタイトルにもなっている楽曲で、浅川マキの作詩・作曲です。セルフカバーであり、元々は1973年のアルバム『裏窓』に収録されていました。なお、この楽曲はアルバム『Long Good-bye』にも収められています。

この作品の制作にあたっては、ギタリストの土方隆行とベーシストの後藤次利がアドバイザーとして参加しています。

レコーディングに参加したミュージシャンは以下の通りです。

Vocals: 浅川マキ
Guitar: 土方隆行, 飛田一男, 松田洋
Bass: 後藤次利
Piano, Synthesizer: 富樫春生
Drums: セシル・モンロー, 平出悟, 青山純, 山木秀夫
Tenor Sax: 植松孝夫

また、このアルバムの制作を支えたレコーディングおよび関係スタッフは下記の面々です。

Recording & Mixing Engineer: 柴田徹, 藤田和明
Recording Engineer: 斉藤匡崇
Mastering Engineer: 木下(george)孝, 小泉純二
Studio Coordinator: 松村崇
Photographer: 田村仁
Design & Edit: 小島みどり
Designer: 持田由美
Costume: 小林ふさ子
A & R Director: 加茂啓太郎
Promotion: 水谷淳一
* Executive Producer: 下河辺晴三, 中曽根純也

『こんな風に過ぎて行くのなら』は、新旧の楽曲が織り交ぜられ、浅川マキの音楽世界を多角的に提示する、彼女のキャリア後期における重要な位置を占めるアルバムです。

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