MAKI LIVE

MAKI LIVE

『MAKI LIVE』は、シンガーソングライター浅川マキが1972年3月5日に発表した、彼女のキャリアにおいて初めてのライブ・アルバムであり、通算3枚目のオリジナル作品にあたります。

収録公演

本作に収録されている音源は、1971年の年の瀬、12月30日と31日の二日間にわたり、東京・新宿にある紀伊國屋ホールで開催された歴史的な年越しコンサートで録音されたものです。当時の熱気や緊張感、そして観客との独特な一体感がパッケージされています。

アルバムの特徴

このアルバムの大きな特徴は、収録されている楽曲の中に、スタジオで正規にレコーディングされたバージョンが存在しないものが複数含まれている点です。そのため、『MAKI LIVE』は浅川マキの多様な音楽性を知る上で非常に価値の高い音源となっています。CDとして再リリースされた際には、オリジナルLP盤に付属していた歌詞カードが丁寧に復刻され、当時の雰囲気を伝えるデザインが再現されました。

収録曲

このライブ盤には、浅川マキ自身の作曲によるものから、国内外の様々な作詞・作曲家による提供曲まで、バラエティ豊かな全12曲が収められています。以下に収録曲と、いくつかの特筆すべき点を示します。

Side A

1. 別れ
作詩・作曲：浅川マキ
2. 赤い橋
作詩：北山修／作曲：山木幸三郎
一番の歌詩の部分は、ギター伴奏に乗せた語りのパフォーマンスで披露されています。
3. にぎわい
作詩：浅川マキ／作曲：かまやつひろし
この楽曲の音源は、本作にのみ収録されています。
4. ちっちゃな時から
作詩：浅川マキ／作曲：むつひろし
5. 朝日樓（朝日のあたる家）
作詩・作曲：PD TRADITIONAL／日本語詩：浅川マキ
スタンダード曲の日本語詞バージョン。スタジオ録音は残されていませんが、アルバム『MAKI II』にも別テイクが収録されています。
6. かもめ
作詩：寺山修司／作曲：山木幸三郎
特に二番と五番の歌詩が、スタジオ録音とは異なるライブならではのバージョンで歌われています。

Side B

1. 少年
作詩・作曲：浅川マキ
2. 死春記（ししゅんき）
作詩：真崎・守／作曲：浅川マキ
タイトルは「ししゅんき」と読みます。このライブバージョンは、本アルバムにのみ収録されています。
3. ピアニストを撃て
作詩：寺山修司／作曲：山木幸三郎
この楽曲の音源もまた、本作でしか聴くことができません。
4. オールド・レインコート OLD RAINCOAT WON'T EVER LET YOU DOWN AN
作詩・作曲：ロッド・スチュワート／日本語詩：浅川マキ
ロッド・スチュワートの楽曲に浅川マキが日本語詩をつけたもの。スタジオ録音は存在しません。後にライブ盤『浅川マキ・ライヴ・夜』にも収録されました。
5. ガソリン・アレイ GASOLINE ALLEY
作詩・作曲：ロッド・スチュワート & RONALD DAVID WOOD／日本語詩：浅川マキ
こちらもロッド・スチュワートとその盟友ロン・ウッドによる楽曲の日本語詞バージョン。本アルバムにのみ収録されています。
6. さかみち
作詩・作曲：浅川マキ
この楽曲は、1972年7月1日にリリースされたEP盤『こんな風に過ぎて行くのなら』（規格品番：ETP-2691）のB面としてもシングルカットされました。

※上記のうち、「にぎわい」「朝日樓」「死春記」「ピアニストを撃て」「オールド・レインコート」「ガソリン・アレイ」は、このライブ録音以外にスタジオ録音バージョンが存在しません。

参加ミュージシャン

この歴史的なライブを彩ったミュージシャンは以下の通りです。

浅川マキ - ボーカル (Vocals)
今田勝 - ピアノ & キーボード (Piano & Keyboard)
稲葉国光 - ベース & エレクトリック・ベース (Bass & Electric Bass)
つのだ・ひろ - ドラムス (Drums)
市原宏祐 - フルート & パーカッション (Flute & Percussion)
萩原信義 - フォークギター (Fork Guitar)
杉浦芳博 - 12弦フォークギター (Twelvestrings Fork Guitar)

制作スタッフ

アルバム制作には以下のスタッフが携わっています。

寺本幸司 - プロデューサー (Producer)
関根ゆきこ - プロデューサー (Producer)
渋谷森久 - ディレクター (Director)
森知明 - レコーディング・エンジニア (Recording Engineer)
山木幸三郎 - 音楽 (Music)
田村仁 - 写真 (Photographer)
周東圀夫 - デザイン (Designer)

リリース履歴と別音源

オリジナル盤は1972年に発表されました。その後、2011年1月19日には、最新リマスタリングが施され、紙ジャケット仕様（規格品番：TOCT-27043）で再リリースされています。さらに、2016年3月23日には、ユニバーサルミュージックより限定アナログLP盤（規格品番：UPJY9028）としても復刻販売されました。

本作に収録されたライブ音源の一部は、後のベスト盤や企画盤である『DARKNESS I』（1995年）、『DARKNESS III』（1997年）、『DARKNESS IV』（2007年）、そして『Long Good-bye』（2010年）といった作品でも聴くことが可能です。

『MAKI LIVE』は、浅川マキという唯一無二の表現者の初期におけるライブパフォーマンスを捉えた、ファンにとって欠かせないだけでなく、日本の音楽史においても重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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