ご近所の星

ご近所の星：高円寺を舞台にしたハートフルコメディー

1979年10月13日から1980年3月8日まで、フジテレビ系列の土曜劇場枠で放送されたテレビドラマ『ご近所の星』。全21話に渡り、東京・高円寺を舞台に、個性豊かな登場人物たちの生活と、彼らを取り巻く街の出来事を軽妙なタッチで描いた作品です。

主人公は、大新聞社から廃刊寸前のタウン誌『のあのあ』に移籍してきた社会部記者の江森達也（三浦友和）。少々変わり者の社長、中林東亜（愛川欽也）の下で、独特の取材活動に奮闘します。そんな達也の隣に引っ越してきたのが、獣医師の木山美智子（十朱幸代）。この出会いをきっかけに、二人の揺れる恋物語が展開していきます。

物語は、達也と美智子の恋愛を中心に展開しますが、高円寺に住む人々との温かい触れ合い、そして街で起こる様々な出来事が、コミカルに描かれています。美智子の勤める動物病院が舞台となるエピソードも多く、ゾウやチンパンジーといった大型動物から、ハムスターやアライグマといった小動物まで、多くの動物たちがドラマを盛り上げます。

『タウンドラマ』と銘打たれた本作は、高円寺の街並みや人情味あふれる雰囲気を丁寧に描写し、当時の世相も反映したリアルな人間模様が魅力です。また、脇を固める個性的な登場人物たちも物語に彩りを添えています。達也の妹（高見知佳）、父（船越英二）、美智子の弟（新井康弘）、両親（桑山正一、三崎千恵子）など、それぞれの事情を抱えながらも、温かい人間関係を築いていく様子が描かれます。さらに、『のあのあ』のオフィスの大家であり、薬局店主でもある三井田丸（谷幹一）とその娘（石山浩子）、中林社長の娘（秋野暢子）など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

ゲスト出演者も豪華な顔ぶれが揃っています。第10話には、翌年結婚する三浦友和と共演し、話題を呼んだ山口百恵が登場。その他にも、安芸秀子、中野健、西川和孝、柄本明、松金よね子、桜町弘子、井沢明子、入川保則、東八郎など、実力派俳優たちがドラマに深みを与えています。

脚本は布勢博一と上條逸雄、演出は浜忠臣と山田良明が担当。プロデューサーは小林俊一、制作はフジテレビが手がけました。主題歌は南こうせつが歌う『旅立つ想い』。軽快なメロディーと、ドラマの雰囲気にマッチした歌詞が、作品の世界観をさらに高めています。

『ご近所の星』は、軽妙なコメディーと、心温まる人間ドラマが見事に融合した作品です。高円寺の街並みを背景に繰り広げられる、登場人物たちの日常と、彼らの織りなす人間模様は、多くの視聴者の共感を呼び、当時高い人気を博しました。 個性的なキャラクター、動物たちの可愛らしさ、そして何よりも、登場人物たちの温かい人間関係が、『ご近所の星』の魅力と言えるでしょう。

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