さいたま市営大宮球場

さいたま市営大宮球場は、埼玉県さいたま市大宮区寿能町二丁目に位置する野球場です。広大な敷地を持つ大和田公園の一部として整備されており、現在は指定管理者であるさいたま市公園緑地協会によって運営管理が行われています。施設の正式な名称はさいたま市が所有する条例上「さいたま市大和田公園野球場」と定められていますが、一般的には所在地の地名を冠した「さいたま市営大宮球場」として広く知られています。近年は施設命名権（ネーミングライツ）が導入され、2021年7月1日からは「レジデンシャルスタジアム大宮」という通称が使用されており、略称は「レジスタ大宮」です。

歴史

この球場は、1967年（昭和42年）8月10日に、当時の大宮市によって「大宮市営球場」として建設されました。建設地は、かつて広大な湿地帯であった見沼を干拓して作られた見沼田んぼの一角に位置します。完成した年に埼玉県で開催された第22回国民体育大会（清新国体）では、硬式高校野球の公式会場の一つとなりました。以来、近隣に位置する埼玉県営大宮公園野球場と並び、埼玉県の高校野球をはじめとするアマチュア野球公式戦の重要な会場として利用されています。また、プロ野球のイースタン・リーグ（二軍）の公式戦も定期的に開催されてきました。近年では、ベースボール・チャレンジ・リーグ（ルートインBCリーグ）に所属する埼玉武蔵ヒートベアーズも公式戦を開催しており、2022年には1試合、2023年には4試合が行われるなど、新たなプロ球団にも活用されています。

1980年代には大規模な改修工事が実施されました。1984年（昭和59年）から1988年（昭和63年）にかけて行われたこの改修では、夜間試合を可能にする照明設備が設けられ、内野スタンドの改築やスコアボードの電動化が進められました。この改修後、入れ替わるように埼玉県営大宮公園野球場が1989年（平成元年）秋から1992年（平成4年）春にかけて大規模な改築期間に入りました。その間、市営大宮球場は埼玉県における高校野球公式戦の主要な舞台となり、関東大会の一部試合も開催されるなど、代替球場としての重要な役割を担いました（ただし、夏季の埼玉大会については、開会式や準決勝以降の一部試合は当時西武ライオンズ球場で行われました）。

2001年（平成13年）5月1日、大宮市などが合併してさいたま市が誕生したことに伴い、「さいたま市営大宮球場」と改称され、現在の名称となりました。

ネーミングライツ導入

さいたま市は、公園施設の維持管理財源を確保し、市民サービス向上を図る目的で、2020年（令和2年）10月にさいたま市大和田公園野球場のネーミングライツパートナー募集を発表しました。同年12月には、審査の結果、東京都足立区に本社を置く不動産会社「株式会社レジデンシャル不動産」が優先交渉権者に選ばれ、2021年（令和3年）3月に基本合意に至りました。同年6月30日に正式な本契約が締結され、翌日の7月1日から通称として「レジデンシャルスタジアム大宮」の使用が開始されました。この際の契約期間は2024年（令和6年）3月31日まででしたが、2024年3月には契約が更新され、2024年4月1日から2027年（令和9年）3月31日までの3年間、引き続き同社による命名権名称が使用されることになりました。

主なエピソード

この球場で行われた試合の中でも特に記憶に残るのが、1994年（平成6年）4月26日に開催されたプロ野球イースタン・リーグ公式戦、ヤクルトスワローズ対西武ライオンズの一戦です。この試合では、ヤクルトの先発・山部太投手と西武の先発・竹下潤投手の両左腕投手が、互いに相手打線を無安打に抑え、完投しました。試合は5回、ヤクルトが相手の失策を足がかりにチャンスを作り、幸田正広選手のスクイズで1点を挙げました。この1点が決勝点となり、1対0でヤクルトが勝利しました。山部投手はイースタン・リーグ史上15度目のノーヒットノーランを達成するとともに、この試合は日本プロ野球史上初となる「両チーム無安打試合」という、極めて珍しい記録として歴史に刻まれました。

また、この球場は鈴木信也氏による野球漫画『Mr.FULLSWING』にも実名で登場しています。ただし、漫画内での描かれ方は、現実の県営大宮球場での準決勝がこの球場で行われるという設定であり、必ずしも現実の利用実態とは異なります。

施設概要

グラウンド：内野はクレー、外野は天然芝を使用
両翼：91メートル
中堅：122メートル
照明設備：6基が設置されており、夜間試合が可能です
スコアボード：磁気反転式を採用
収容人員：約10,000人（外野席は芝生席となっています）

交通アクセス

東武野田線（東武アーバンパークライン）大宮公園駅より徒歩約10分
東武野田線（東武アーバンパークライン）大和田駅より徒歩約15分

さいたま市営大宮球場は、アマチュアからプロまで幅広いレベルの野球に利用され、地域の野球振興に貢献しています。歴史的な出来事の舞台ともなったこの球場は、今後も多くの野球ファンに利用されていくことでしょう。

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