さざなみCD

アルバム『さざなみCD』の魅力

『さざなみCD』は、日本のロックバンド・スピッツが2007年10月10日にリリースした通算12作目のオリジナルアルバムです。本作はユニバーサルミュージックから発売され、特に初回盤にはスリップ・ケースが付属するという特徴があります。前作『スーベニア』から約2年9か月の間に制作されたこのアルバムは、これまでの制作方法とは異なり、長期にわたるレコーディングが行われました。

レコーディングのプロセスとアート

本作のレコーディングは、1年以上前から4回に分けて行われ、より制作に時間をかけたという点が特徴です。また、ジャケットイラストは前作同様に福田利之が担当し、カバーモデルとして早川みどりが起用されています。エンジニアは高山徹が続投し、一部楽曲のミキシングは牧野英司が手がけました。マスタリングはスティーヴン・マーカソンが行っています。

もともとアルバム名は『夕焼け』という仮タイトルがつけられていましたが、「夕焼け」という楽曲が33rdシングルとしてカップリングに収録されたため、最終的には『さざなみCD』に改名されました。このタイトルは大和言葉を意識しており、収録曲の「漣」から取られています。

ヒットの連続

また、本作は前作に引き続きオリコンアルバムチャート1位を獲得しており、オリジナルアルバムとしては『三日月ロック』以来、3作連続での1位達成となりました。この成功はバンドの人気の高さを物語っています。

収録曲のダイジェスト

1. 僕のギター

草野マサムネがこの曲を「雨の中のストリートシンガーのイメージ」と語るように、情景が浮かぶ楽曲です。

2. 桃

アルバムの中で特に印象的な作品の一つです。

3. 群青

この楽曲は33rdシングルであり、初期に録音されたものです。バッキングボーカルにはスキマスイッチの大橋卓弥と女性シンガーソングライターの植村花菜が参加しています。

4. Na・de・Na・de ボーイ

リズミカルな早口のAメロが特徴で、韓国語の「アラッソ」が歌詞に用いられるユニークな一曲です。

5. ルキンフォー

この楽曲は32ndシングルとしても知られています。

6. 不思議

ディスコ調のアプローチが新鮮で、レコーディングの時期に入った音楽的な進化が感じられます。

7. 点と点

ファンクラブ会員限定ツアーですでに披露されていた楽曲で、仮タイトルは「薄化粧」として知られています。

8. P

こちらもツアーで演奏された楽曲で、特にピアノのアレンジが目を引きます。

9. 魔法のコトバ

この曲は映画『ハチミツとクローバー』の主題歌として書き下ろされ、大きな反響を呼びました。

10. トビウオ

歌詞には「波照間から稚内へ」という固有名詞が含まれ、印象的な描写がされています。

11. ネズミの進化

こちらもツアーで演奏されていた楽曲です。

12. 漣

アルバムのタイトルチューンで、草野が長年アイディアを温めていた作品でもあります。

付加価値のあるアナログ盤

また、同年12月26日にはアナログ盤『さざなみLP』がリリースされ、さらに3曲を追加収録した2枚組の内容で登場しました。尾田栄一郎（『ハチミツとクローバー』の作者）による書き下ろしイラストも封入されており、ファン必見のアイテムとなりました。

演奏陣

スピッツのメンバーとして草野マサムネ、三輪テツヤ、田村明浩、﨑山龍男が参加しています。各楽曲において、多様なメンバーやゲストアーティストが演奏を重ねたことで、アルバム全体に厚みを持たせています。

このアルバム『さざなみCD』は、スピッツの音楽的な旅路を振り返りつつ、新たな試みと創造性が詰まった作品です。バンドのファンだけでなく、音楽を愛するすべての人にとっても楽しめる一枚となっています。

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