さよならをもう一度 (尾崎紀世彦の曲)

さよならをもう一度

尾崎紀世彦の楽曲「さよならをもう一度」（読み：さよならをもういちど）は、彼の3枚目のシングルとして、1971年7月25日に日本フォノグラムより発売されました。規格品番はFS-1203です。作詞は阿久悠氏、作曲および編曲は川口真氏が手掛けています。

リリースと背景

本作は、前作のミリオンセラーとなったヒット曲「また逢う日まで」に続くシングルとしてリリースされました。発売日には、同名の楽曲が収録されたオリジナルアルバム『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』も同時に市場に送り出されています。オリコンシングルチャートでは最高位2位を獲得し、残念ながら連続での1位獲得とはなりませんでしたが、累計のセールス枚数は44万枚を超える大ヒットを記録しました。この成功は、前作「また逢う日まで」に引き続き、尾崎紀世彦氏の歌手としての地位を確固たるものとしました。

楽曲の特徴

作詞の阿久悠氏と作曲・編曲の川口真氏という強力なタッグによって生み出されたこの楽曲は、別れを惜しむ心情を切々と歌い上げています。哀愁を帯びた美しいメロディラインと、それを表現力豊かに歌い上げる尾崎紀世彦氏の力強いボーカルが聴く者の心を打ちます。特に、短いながらも印象的なイントロに続くスキャットは、楽曲を象徴するパートの一つであり、多くのリスナーに記憶されています。シングルのカップリング曲には、同じく阿久悠氏作詞、川口真氏作曲・編曲による「夕やけの誓い」が収録されています。

メディアでの展開と影響

「さよならをもう一度」は、発表から時を経ても様々な形で人々に親しまれています。1999年に公開された井筒和幸監督の映画『のど自慢』では、俳優の竹中直人氏が劇中の主要な場面でこの曲を熱唱し、観客に強い印象を残しました。また、同映画の予告編では、楽曲冒頭の特徴的なスキャット部分を効果的に利用したバージョンも制作され、竹中氏が「ラ〜」と歌い始めた瞬間に「鐘ひとつ」というテロップが表示される演出が用いられました。さらに、尾崎紀世彦氏自身も、2008年4月に鹿児島県垂水市で開催されたNHKのど自慢にゲストとして出演し、この楽曲を披露しています。

収録アルバム

オリジナルとしては、シングルと同日発売のアルバム『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』に収められています。その後も、尾崎紀世彦氏の代表的な楽曲として、数多くのベストアルバムやコンピレーションアルバムに収録されています。

『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』 (1971年)
『GOLDEN☆BEST 尾崎紀世彦』 (2003年)
『-SPECIAL BOX- 尾崎紀世彦の世界』 (disc:4) (2007年)
『ザ・プレミアム・ベスト尾崎紀世彦』 (2009年)
『移りゆく時代 唇に詩 〜阿久悠大全集〜』 (1996年)
『続・青春歌年鑑 '71 PLUS』 (2002年)
『川口真 作品集〜手紙〜』 (disc1) (2012年)

主なカバー

この楽曲は、時代やジャンルを超えて多くのアーティストによってカバーされており、その普遍的な魅力が証明されています。

フランク永井（1971年）
欧陽菲菲（1971年）
サム・テイラー（1971年）
寺内タケシとブルージーンズ（1971年）
劉文正（1978年、中国語題「懷念」）
甄妮（1983年、広東語題「這不是天意」）
今陽子（2013年）
水谷豊（2015年）
中井智彦（2016年）
桑田佳祐（2019年、ライブ音源）
石井竜也（2020年）
* 錦織一清 (2023年)

「さよならをもう一度」は、尾崎紀世彦氏の力強い歌唱と、作詞・作曲家が生み出した普遍的なメロディにより、彼のキャリアにおける重要な一曲として、そして日本の歌謡史に残る名曲として、今なお多くの人々に愛され続けています。

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