さんふらわあ こがね

さんふらわあ こがね：地中海クルーズを思わせる豪華フェリー波乱の航海史

1992年、関西汽船の新たな旅客船として就航した「さんふらわあ こがね」。神戸（阪神）～松山～別府航路を舞台に、その豪華な船内設備と独特の航海で多くの乗客を魅了しました。本船は、同社の老朽客船の代替として、僚船「さんふらわあ にしき」と共に建造されました。この2隻の就航により、神戸～別府航路は全便フェリー化され、新たな時代の幕開けを告げました。

準同型船と船内設備

「さんふらわあ こがね」は、ダイヤモンドフェリーの「ブルーダイヤモンド」や「スターダイヤモンド」とほぼ同じ設計の船でした。7層のデッキを持ち、上部から羅針儀甲板、航海船橋甲板、A～E甲板と名付けられていました。操舵区画は航海船橋甲板に、船室はA、B甲板に配置され、C、D甲板前部は乗組員区画、D甲板後部とE甲板は車両積載区画でした。船体には、車両の乗降を容易にするためのバウドア、ランプウェイドア、サイドランプウェイドアが備え付けられていました。

船内インテリアは、ヨーロピアンリゾートをイメージしたセミクラシックなデザインで統一。特に「こがね」は、重厚で荘厳なベートーベンを思わせる雰囲気を演出していました。Aデッキにはデラックスルーム、特等室、1等室、2等寝台、2等客室が、Bデッキには特等室、1等室、2等客室、レストラン、ラウンジ、ビジネスコーナーなどが完備。乗客は、快適な船旅を満喫できたことでしょう。

運航会社と航路変更

2007年11月からは、ダイヤモンドフェリーの担当便として、「さんふらわあ にしき」と交互に運航されました。そして2008年2月、ドック入りの際にダイヤモンドフェリーへ正式に移籍。ファンネルマークもダイヤモンドフェリーのDマークに変更されました。その後、関西汽船とダイヤモンドフェリーが統合され、2009年11月1日からは「フェリーさんふらわあ」の運航となりましたが、2010年2月には減便により運航を終了しました。

海外売船と最期の時

運航終了後、「さんふらわあ こがね」は海外へ売船され、フィリピンで「SUPERFERRY 20」として活躍しました。その後、ネグロス・ナビゲーションに移籍し、「St Gregory The Great」として2GOブランドで運航されました。しかし、2013年6月13日、シエット・ペカドス諸島付近で座礁、機関室浸水というアクシデントに見舞われ、イロイロ港へ曳航されました。そして、2015年、バングラデシュで解体されたと伝えられています。

事故・インシデント

2007年10月7日、松山港での接岸中に左舷船尾部が防衝工に衝突するという事故が発生しました。研修中の船長がサイドスラスターの操作を誤ったことが原因でした。この事故は、「さんふらわあ こがね」の安全運航における課題を浮き彫りにしました。

終わりに

「さんふらわあ こがね」は、その豪華な船内設備と個性的なデザインで、多くの乗客に忘れられない航海を提供しました。しかし、その輝かしい歴史は、座礁事故と解体という形で幕を閉じました。この船の物語は、日本のフェリー史における重要な一ページとして、これからも語り継がれていくでしょう。

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