ダイヤモンドフェリー

ダイヤモンドフェリー株式会社：瀬戸内海と九州を繋いだ航路の軌跡

ダイヤモンドフェリー株式会社は、かつて阪神地区と九州（大分、志布志）を結ぶフェリー航路を運航していた海運会社です。1968年の設立から2011年の合併解散まで、長きに渡り瀬戸内海の海上交通を支え、その歴史は数々の航路開設や船舶の変遷、そして他社との連携によって彩られました。本稿では、同社の歴史、航路、船舶、そして割引制度について詳細に解説します。

設立から合併まで：歩みを辿る

1968年5月、九四阪神フェリー株式会社として設立された同社は、翌年にはダイヤモンドフェリー株式会社へと社名変更。1970年2月、神戸―大分航路を開設し、貨物輸送を主とする路線からスタートしました。その後、松山への寄港を開始するなど航路網を拡大、一般旅客の輸送も開始するなど、事業内容を拡充していきます。

1980年代には神戸港の発着港を移転し、六甲アイランド時代へと移行。1990年には関西汽船、室戸汽船と共に大阪商船三井船舶（現・商船三井）傘下となり、更なる成長を目指しました。1993年には六甲アイランドに新たな本社ビルを建設するなど、企業規模の拡大を図ります。

一方で、1995年には高速船「スピーダー」による郡中（愛媛県伊予市）―大分航路を開設するものの、利用客の低迷により短期間で廃止となっています。2000年には愛媛阪神フェリーの航路事業を承継、2007年にはブルーハイウェイライン西日本と経営統合し、大阪―志布志航路（南九州航路）を新たに担当することとなります。

2003年からは同じ商船三井グループである関西汽船と業務提携、共同運航を開始するなど、他社との連携を強化。2005年には共同営業センターを設立し、割引制度の相互利用も可能になりました。しかし、2009年10月に営業部門をフェリーさんふらわあへ移管し、2011年10月1日には関西汽船とともにフェリーさんふらわあへ合併、歴史に幕を閉じました。

航路網の変遷：中九州航路と南九州航路

ダイヤモンドフェリーの主要航路は、中九州航路（神戸―大分）と南九州航路（大阪―志布志）でした。中九州航路は、開設当初は貨物重視でしたが、徐々に一般旅客も輸送対象となり、松山への寄港も開始。

南九州航路は、ブルーハイウェイライン西日本との経営統合によって開始されました。それぞれの航路において、時代の流れや市場ニーズに合わせて、寄港地の変更やダイヤ改正などが行われました。また、関西汽船との共同運航なども行われていました。

船舶：時代を彩った船々

ダイヤモンドフェリーは、その歴史の中で多くの船舶を運航しました。初期の「フェリーゴールド」、「フェリーパール」、「フェリールビー」といった小型船から、大型フェリーである「クイーンダイヤモンド」、「フェリーダイヤモンド」、「スターダイヤモンド」、「ブルーダイヤモンド」など、時代を反映した船舶が活躍しました。

特に、「クイーンダイヤモンド」、「フェリーダイヤモンド」、「スターダイヤモンド」、「ブルーダイヤモンド」は、同社のシンボル的な存在として親しまれ、その特徴的なイルカのマークが船体に描かれていました。これらの船は、後年に他社へ売却・譲渡され、現在も世界各地で活躍しています。

2007年以降には、「さんふらわあ ごーるど」、「さんふらわあ ぱーる」といった、フェリーさんふらわあ共通設計の船舶を導入。これらの船舶は、同社の歴史と進化を象徴するものです。

割引制度：多様なニーズに対応

ダイヤモンドフェリーでは、様々な割引制度が設けられており、利用者の利便性向上に努めていました。インターネット割引、往復割引、学生割引、シルバー割引、JAF会員割引、身体障害者割引など、幅広い層が利用できる割引制度が用意されていました。また、団体割引や会員制度（ダイヤモンドフェリー瀬戸内海倶楽部）なども存在し、多様なニーズに対応していました。

中九州航路と南九州航路では、割引制度の適用や予約業務もそれぞれ異なっていました。関西汽船との共同運航期間中には、割引制度の相互利用も可能になっていました。

結び：時代を駆け抜けたフェリー会社

ダイヤモンドフェリーは、設立から合併まで、常に変化する市場環境の中で、航路網の拡大、船舶の更新、他社との連携など、様々な取り組みを行ってきました。その歴史は、瀬戸内海と九州の海上交通の発展に大きく貢献しました。 その功績は、現在も「フェリーさんふらわあ」として受け継がれ、瀬戸内海の海峡を越えて人々と物資を運んでいます。

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