さんふらわあ さつま (2代)

さんふらわあ さつま(2代目)：地中海の風を運んだフェリー

1993年3月24日、三菱重工業下関造船所で建造されたフェリー『さんふらわあ さつま』は、フェリーさんふらわあの新たな歴史を刻む船でした。同社初の新造船として就航した本船は、従来の太陽マークに加え、船体前後に水色のラインが配された新しいデザインが特徴的でした。当初は大阪～志布志航路に就航し、その後、東京～苫小牧航路（大洗港寄港を含む）にも就航するなど、活躍の場を広げました。

1997年には東京～苫小牧航路に就航、大洗港にも寄港する多様な航路に対応できる汎用性の高さが光りました。1999年には再び大阪～志布志航路へ戻り、長期間に渡りこの航路の主力として活躍しました。2000年の会社分割によりブルーハイウェイライン西日本の所有となり、その後、ダイヤモンドフェリーとの合併を経て同社の所有となりました。この合併に伴い、船体にはダイヤモンドフェリーを象徴するオレンジの帯と菱形のロゴが加えられました。

2009年、関西汽船とダイヤモンドフェリーの統合によりフェリーさんふらわあへ戻り、再び同社で運航されることとなりました。この際にファンネルマークはオレンジ一色に変更され、新たな装いで航海を続けました。2017年には大阪港の発着地がかもめフェリーターミナルからコスモフェリーターミナルに移転しました。

2015年には大阪～志布志航路に新造船の導入が発表され、2018年の就航が予定されていました。しかし、新造船の就航時期が変更となり、『さんふらわあ さつま』は2018年4月に『さんふらわあ さつま1』と改名され、その後『さんふらわあ ぱーる』の長期運休に伴う代替として、神戸～別府航路で臨時運航を行いました。そして2018年9月、船名をDHARMA FERRY VIIに変更し、インドネシアに売却されました。（船籍はモンゴル）。

設計と設備

『さんふらわあ さつま』は、従来の船舶より大型化され、車両甲板がノーピラー構造となることで車両積載量の大幅な向上を実現しました。トラック用のC・Dデッキの高さは4.3mに設計され、9フィート6インチの高さを有する輸送コンテナの積載も可能となりました。冷凍貨物用の電源プラグを増設したほか、ランプウェイを船体前後に配置することで荷役時間の短縮にも成功しました。航海速度は23ノットに向上し、航海時間を約1時間短縮、約14時間での航行を実現しました。

船内インテリアは「地中海の風」をテーマに南スペインをイメージしたデザインが採用され、木目をふんだんに使用した重厚感のある空間が特徴でした。個室は全て海側に窓を配置、温水洗浄便座付きトイレを完備するなど、快適性を重視した設計が施されています。客室は揺れの少ないA・Bデッキ中央部に集中配置され、ブルーハイウェイラインでは初となるツインルーム型の1等客室を34室設置しました。

8階にはレストラン「コスタ・デル・ソル」、カフェテリア、フリースペース、7階には展望サロン「ロンダ」、1等・2等客室、特等室、6階には展望浴室、ロビー、売店、ゲームルームなど、充実した設備が備えられていました。当初はカードルーム、カラオケルーム、和室大広間、ラウンジ、グリル、スナックなどもありましたが、後に変更されています。

事故・インシデント

『さんふらわあ さつま』は、その運航期間中に2度の機関トラブルに見舞われています。2001年2月と2011年12月、それぞれ右舷、左舷主機の損傷により、一時的に片側の機関のみでの運航を余儀なくされましたが、いずれも大事故には至らず、無事に港へ入港しています。

『さんふらわあ さつま』は、その豪華な設備と快適な航海、そして長きにわたる活躍により、多くの乗客の思い出に刻まれた船と言えるでしょう。

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