しぶんぎ座

しぶんぎ座（Quadrans Muralis）について

しぶんぎ座、またの名を壁面四分儀座は、1795年にフランスの天文学者ジェローム・ラランドによって設定された星座です。この星座は現在は使用されていませんが、その歴史と背景は非常に興味深いものです。しぶんぎ座は、現在のりゅう座・ヘルクレス座・うしかい座の境界付近に位置しており、ラテン語で「壁面四分儀」を意味するQuadrans Muralisから名付けられました。この名称は、位置天文学に用いられる観測機器を指します。

星座の設立と背景

しぶんぎ座は、ラランドが自身の甥ミシェル・ルフランセ・ド・ラランドと共に北天の50,000個以上の恒星の位置を観測した際に使用した壁面四分儀に因んで名付けられました。彼らが行った観測は、当時の天文学にとって非常に重要なものでした。

また、毎年1月4日頃にはしぶんぎ座流星群が極大を迎え、この星座から放射される流星が見られます。この流星群は、しぶんぎ座が設定された時期に、りゅう座のι星付近がその輻射点とされていたことから名付けられました。

歴史的背景

しぶんぎ座の初出は、1795年にフランスの科学機器製作者ジャン・ニコラ・フォルタンが刊行した星図『Atlas Céleste』の改訂版に見られます。この星図は、既存の星図を縮小したものであったため、多くの天文学者や学生にとって役立つ資料となりました。

フォルタンは、星図のプレート2に壁面四分儀の絵と共に「Le Mural」という名称を記載し、ラランドが新たに設けた星座であることを強調しました。ラランドはコレージュ・ド・フランスで天文学教授を務める傍ら、甥との共同作業によって、多くの恒星の位置を特定しました。

1796年には、ラランドが出版した『Connaissance des temps』において、5等級から7等級に属する恒星10個をしぶんぎ座に分類して記載しています。

星座の変遷

しぶんぎ座は、1801年にヨハン・ボーデによって出版された『ウラノグラフィア』において、ラテン語化されたQuadrans Muralisとして改名され掲載されました。この時点で、古くからの星座の範囲を侵害しないように調整され、ラランドが示した領域よりも狭く描かれていました。『ウラノグラフィア』の影響により、19世紀前半には多くの星図においてしぶんぎ座が定番の星座として扱われました。

しかし、19世紀末に至るとこの星座はほぼ忘れ去られることとなり、1922年に国際天文学連合が選定した88の星座の中には含まれませんでした。そのため、現在ではしぶんぎ座の領域はりゅう座やうしかい座の一部となっています。

関連する星座

しぶんぎ座に関連する星座としては、ろくぶんぎ座やはちぶんぎ座、さらにりゅう座、うしかい座、ヘルクレス座が挙げられます。これらの星座は、天文学や星々の観測に関する深い関連性を持っており、しぶんぎ座の歴史を理解する上でも重要な要素となっています。

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