せんせい (1989年の映画)

映画『せんせい』の概要

『せんせい』は、日本映画界の著名な俳優たちが参加した、1989年に公開された作品です。この映画は、山城新伍、松方弘樹、千葉真一、北大路欣也、梅宮辰夫、渡瀬恒彦の6人が結成した「トムソーヤ企画」によるもので、彼らの初の自主製作映画となります。トムソーヤ企画は1987年に結成され、日本映画の再生を目指して活動している製作会社であり、梅宮が社長を務めています。映画の配給は松竹が担当しましたが、豪華なキャストが注目され、プレスシートには「任侠映画と思わないでください……。これは、愛あふれる教師の物語です」というコメントが添えられていました。

あらすじ

物語の舞台は、東京の佃島にあり、ウォーターフロント計画が進行中の地域です。そこでは、再開発の波によって、地域の中学校が廃校にされることが決まります。この背景の中、はみ出し教師と地元の子供たち、そしてその保護者たちの交流を描く内容となっています。映画は、地域の絆や教育について考えさせられるストーリーが展開されています。

キャスト

この作品には多くの著名な俳優たちが出演しています。松方弘樹は主人公の吉井寛を演じ、梅宮辰夫や千葉真一も重要な役どころに収まっています。その他、北大路欣也、渡瀬恒彦といった実力派が集結しており、南果歩や沢田亜矢子などもキャストに名を連ねています。監督は山城新伍が務め、脚本は重森孝子が担当しています。

制作過程

この映画が誕生するきっかけは、1988年の夏に千葉真一が山城新伍に提案したことに始まります。プロデューサーが千葉、監督が山城に決定し、キャストには松方弘樹や梅宮辰夫らが名前が挙がりました。特にこの6人は、個々には親しい間柄ありながら、全員が仲良しというわけではないと山城は述べており、個々の役割を尊重しながら協力していく姿勢も見られます。

当初、映画のタイトルは『トムソーヤの冒険』として計画されていましたが、撮影にかけられる時間やリソースの問題から、『せんせい』に変更されました。教育というテーマの選定も、当時の教育現場に対する不満から生まれたものでした。

撮影と宣伝

撮影は東京都内の佃島エリアで行われ、特に中学校の廃校予定である校舎が舞台となりました。音楽は津島利章が担当し、重要なシーンでは『仁義なき戦い』のテーマ曲も使われました。宣伝費の調達にも苦労があり、キャストたちがCM出演を通じて補填を行うなど、製作のための努力が続けられました。

興行成績と評価

劇場公開は1989年4月8日であり、初日は大きな反響を呼びましたが、その後の興行成績は期待を下回るものでした。配収は1億5000万円に終わり、その要因については、教師がテーマの作品に対する中高生の関心の低さが指摘されました。『キネマ旬報』では、作品があまりにも真面目に作りすぎたとの批評もあり、当時の若者たちには響かなかったことが悔やまれます。

受賞歴

この映画は、第32回ブルーリボン賞において助演女優賞を受賞するなど、一定の評価を得た部分もありました。特に南果歩の演技が高く評価され、他の映画作品との合わせて受賞しました。

総じて、映画『せんせい』は、豪華なキャストが贅沢に演じる、教育現場をテーマにした感動的な作品として、記憶に残る存在となっています。

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