それいけ!アンパンマン てのひらを太陽に

それいけ！アンパンマン てのひらを太陽に

1998年7月25日に公開された『それいけ！アンパンマン てのひらを太陽に』は、シリーズ10作目となる記念すべき作品です。「それいけ！アンパンマン」シリーズの劇場版作品としては10周年を迎え、日本テレビ開局45周年という節目の年にも制作された作品であり、全日本私立幼稚園連合会、社会福祉法人日本保育協会の推薦も受けています。キャッチコピーは「かならずぼくがたすけにいくよ くらやみの世界に太陽を!!」と力強いメッセージが込められています。

本作は、やなせたかし作詞の童謡「手のひらを太陽に」をテーマに、アンパンマンたちが、シャイン王子とブラック大魔王の戦いに巻き込まれる物語が展開します。脚本を手掛けたのは藤田伸三氏で、テレビシリーズでは95年から参加していましたが、劇場版作品への参加は本作が初めてでした。ゲスト声優として、リナちゃん役に菊池桃子氏、シャイン王子役に前作「虹のピラミッド」でレインボー王子を演じた福澤朗氏を起用し、話題を集めました。

アニメーション制作においては、セル画が中心でありながらも、CGが積極的に取り入れられ、当時としては先進的な技術が使われています。配給は松竹富士が担当しましたが、1999年8月31日の経営合理化に伴う解散により、本作が松竹富士によるアンパンマン映画シリーズの配給作品としては最後となりました。続く「勇気の花がひらくとき」からは、東京テアトルとメディアボックスが共同で配給を行うことになります。

また、本作は劇場版シリーズではじめて、どんぶりまんトリオが登場しない作品でもあります。それまでの作品ではおなじみの存在であったどんぶりまんトリオですが、本作以降は不定期出演となっています。さらに、本作では、アンパンマンたちが敵によって石化されるという展開があり、この演出は第5作目『恐竜ノッシーの大冒険』以来、約5年ぶりの復活となります。強制変身ではない、敵による石化という演出は、物語に緊張感を与えています。

あらすじ

旅一座「でんでん一座」が、だいこん役者率いる一座と共にやってきます。一座には、オカリナが得意なリナちゃんがいますが、彼女はいつも寂しそうでした。それは、くらやみ谷でブラック大魔王と戦い、自ら封印されたシャイン王子を想っていたからでした。リナちゃんの気持ちを知った一座は、SLマンに乗ってくらやみ谷へ向かうことを決意します。

一方、ばいきんまんたちは、この話を聞きつけてくらやみ谷へ向かい、壺に封印されていたブラック大魔王を復活させてしまいます。ブラック大魔王の復活によって世界は闇に包まれ、くらやみ谷へ向かったSLマンたちも危機に陥ります。アンパンマンたちは、闇から世界を守る事ができるのでしょうか？

登場キャラクター

本作には、アンパンマンシリーズでおなじみのレギュラーキャラクターに加え、個性豊かなゲストキャラクターが登場します。

レギュラーキャラクター

アンパンマン（戸田恵子）
ばいきんまん（中尾隆聖）
ジャムおじさん（増岡弘）
バタコさん（佐久間レイ）
めいけんチーズ（山寺宏一）
しょくぱんまん（島本須美）
カレーパンマン（柳沢三千代）
メロンパンナ（かないみか）
ドキンちゃん（鶴ひろみ）
ホラーマン（肝付兼太）
ロールパンナ（冨永みーな）
でんでん一座（だいこん役者、だいこん座長、他）
SLマン（西村朋紘）
カバオくん、ピョン吉、ウサ子、ちびぞうくん（山寺宏一、原えりこ、中村ひろみ、坂本千夏）

ゲストキャラクター

リナちゃん（菊池桃子）：オカリナ姫
シャイン王子（福澤朗）
ブラック大魔王（大友龍三郎）
マリン

その他にも多くのキャラクターが登場し、物語を彩ります。

それいけ！アンパンマン アンパンマンとおかしな仲間

『それいけ！アンパンマン てのひらを太陽に』と同時上映された作品です。「おむすびまんとおばけやしき」と「クリームパンダとおかしの国」の2本立てオムニバス形式で、それぞれ異なる物語が展開されます。

おむすびまんとおばけやしき

アンパンマンが、おむすびまんからの手紙を講談形式で語り聞かせるというユニークな展開から始まります。おむすびまんとこむすびまんが、ばいきんまんとドキンちゃんに井戸に落とされ、お化け屋敷のような館に迷い込んでしまうというストーリーです。

クリームパンダとおかしの国

本作が劇場版初登場となるクリームパンダが、メロンパンナと共に、おかしの国を訪れます。しかし、ばいきんまんとドキンちゃんによっておかしの国が危機に陥り、クリームパンダが活躍する物語です。俳優の山田まりやさんもゲスト出演しています。

これらの同時上映作品も、アンパンマンシリーズの世界観を存分に楽しめる内容となっています。

もう一度検索