たて座UY星

たて座UY星（UY Scuti）

たて座UY星は、たて座に位置する赤色超巨星で、SRC型の脈動変光星です。太陽系から約5,100光年の距離にあり、その大きさや変光の特性から天文学者の注目を集めています。

星の大きさと変光の周期

この星は変光度の周期が688日または740日で、半規則型の変光星として知られています。2012年、チリのアタカマ砂漠にある超大型望遠鏡VLTを使って行われた観測によって、たて座UY星はその半径が約1,708 ± 192倍の太陽半径 (R☉) とされ、既知の恒星の中で最大の半径を持つことが示唆されました。この研究では、さそり座AH星やいて座KW星とともに、銀河系の中心周辺に存在する赤色超巨星の特徴が明らかにされました。

しかし、2018年に発表されたガイア計画のデータを基に、たて座UY星との距離が約5,100光年に修正されました。この修正により、半径も約755R☉に再評価され、以前考えられていたほどの巨星ではないことが後に判明しました。これにより、たて座UY星は最も大きな恒星のリストから除外されることとなりました。

質量と伴星の有無

たて座UY星には伴星が確認されていないため、質量は正確には測定されていません。重力相互作用を利用して質量を導出することができないため、今後の観測が期待されています。

超新星の予測

現在の恒星進化モデルによれば、たて座UY星は内部でヘリウムの核融合を開始し、周囲では水素の核融合が進行中と考えられています。この星は天の川銀河の中心方向に位置するため、金属に富んだ性質を持っています。重元素の融合が進むにつれ、コアの内部で鉄が生成され始めます。

この際、コア内部で重力と放射圧のバランスが崩れてしまうと、重力崩壊型の超新星に至ります。たて座UY星のような赤色超巨星は、この後に黄色超巨星、高光度青色変光星、あるいは強力な恒星風を通じて外層を放出し、ウォルフ・ライエ星に進化する可能性があります。そして、最終的にIIb型、IIn型、Ib/c型の超新星爆発を起こすと予想されています。

まとめ

たて座UY星は、太陽系からの距離や特異な変光の性質、そして超新星爆発のメカニズムにおいても、多くの興味深い要素を持っています。今後の観測によって、その質量や進化の詳細がさらに解明されることが期待されています。

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