超大型望遠鏡VLT

VLT (Very Large Telescope)の概要

VLT（Very Large Telescope）は、チリのパラナル天文台に位置するヨーロッパ南天天文台が建設した大型望遠鏡のシステムです。その構成は、口径8.2メートルの望遠鏡が4台集まり、様々な波長の電磁波を観測する能力を持っています。これらの望遠鏡は光ファイバーでつながれており、特別な干渉計としても扱うことが可能です。

望遠鏡の構成

4台の望遠鏡それぞれは「ユニットテレスコープ（UT）」と呼ばれ、1998年5月に最初の望遠鏡がファーストライトを迎えました。その後、2000年にかけて、残りの3台も完成し、Antu（太陽）、Kueyen（月）、Melipal（南十字星）、Yepun（金星）という名称が付与されました。これらは全て、チリの先住民であるマプチェ族の言葉に由来しています。

観測装置とその機能

各望遠鏡には3種類の観測装置が備わっており、これにより多様な観測が可能です。主な観測装置には以下が含まれます：

• - FORS1/2: 可視光領域での撮影および低分散分光器
• - ISAAC: 1～5マイクロメートル波長の近赤外線撮影・分光
• - UVES: 300nmから1100nmの紫外線から近赤外線を扱う高分散分光器
• - NACO: 補償光学装置
• - VIMOS: 多天体低分散分光撮影装置
• - FLAMES: 多天体高分散分光装置
• - VISIR: 中間赤外線撮影分光装置
• - SINFONI: 補償光学装置と連携した近赤外線分光装置
• - CRIRES: 近赤外線高分散分光器
• - HAWK-I: 広視野近赤外線撮影装置
• - ESPRESSO: 高精度高分散分光器

このような先進的な装置を駆使し、多様な観測が日々行われています。

干渉計としての活用

VLTの特筆すべき機能はその干渉計としての運用です。4つの望遠鏡を光ファイバーで接続し、VLT干渉計（VLTI）として使用することで、実質的に口径130メートルの巨大な望遠鏡として機能します。この方式により、単体での使用時よりも25倍の空間分解能が実現され、より詳細な観測が可能となります。

さらに、1.8メートルの補助望遠鏡（AT）も利用しており、これによりさらに高品質の画像を取得できます。このシステムは天文学の先端研究において重要な役割を果たしています。

まとめ

VLTは、4台の大規模望遠鏡を有することで、多様な波長の観測を可能にする先進的な天文観測施設です。その機能性と多彩な観測器具により、世界中の天文学者たちの研究を支援しており、今後も宇宙の解明に貢献していくことでしょう。

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