ちくま少年文庫

「ちくま少年文庫」は、筑摩書房が1977年から1978年にかけて刊行した少年向けの文庫シリーズです。このシリーズは、単に読み物としてだけでなく、少年たちの知的好奇心を刺激し、視野を広げることを目指した、バラエティ豊かな作品群で構成されています。

兄弟シリーズとして「ちくま少年図書館」と「ちくま少年文学館」があり、これらのシリーズと合わせて、幅広い年齢層の読者に向けて、多様なジャンルの書籍を提供していました。

「ちくま少年文庫」の特徴は、既刊の名作を少年向けに再編集した作品が多い点です。冒険、ノンフィクション、科学、文学、スポーツなど、様々な分野の作品が選ばれており、少年たちの興味や関心を多角的に刺激する内容となっています。

以下に、刊行された主な作品とその概要を記します。

がむしゃら1500キロ：浮谷東次郎の著書で、池田和弘が挿絵を担当。初版は1972年に筑摩書房から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。ロードレースに青春をかける若者の姿を描いた作品。
処女峰アンナプルナ：モーリス・エルゾーグ著、近藤等訳、山里寿男が挿絵を担当。初版は1953年に白水社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。アンナプルナ初登頂の記録を綴ったノンフィクション。
罪なき殺し屋たち：ヒューゴ・バン・ラービックとジェーン・グドール共著、藤原英司訳。初版は1972年に平凡社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。野生動物の生態を科学的に調査した記録。
「岩宿」の発見：相沢忠洋の著書。初版は1969年に講談社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。旧石器時代の遺跡発掘の様子を記録したノンフィクション。
太平洋ひとりぼっち：堀江謙一著、石川滋彦が挿絵を担当。初版は1962年に文藝春秋新社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。単独ヨットでの太平洋横断に挑戦した記録。
ゴリラ探検記：河合雅雄著、木村しゅうじが挿絵を担当。初版は1961年に光文社カッパ・ブックスから刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。ゴリラの生態を観察した記録。
にあんちゃん：安本末子著、久米宏一が挿絵を担当。初版は1958年に光文社カッパ・ブックスから刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。貧しいながらも力強く生きる少年の姿を描いた作品。
翼よ、あれがパリの灯だ：チャールズ・A・リンドバーグ著、佐藤亮一訳、池田和弘が挿絵を担当。初版は1955年に出版共同社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。大西洋単独無着陸飛行に成功したパイロットの自伝。
流れる星は生きている：藤原てい著、山本邦明が挿絵を担当。初版は1949年に日比谷出版社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。戦後の混乱期を生き抜く人々の姿を描いた作品。
どんべえ物語：畑正憲著。初版は1972年に朝日新聞社から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として刊行。動物と人間の交流を描いた物語。
パズルゲーム：高木重朗著。1977年に「ちくま少年文庫」として刊行。
詩と愛について：中里喜昭著、川田幹が挿絵を担当。初版は1973年に飯塚書店から刊行された。1977年に「ちくま少年文庫」として再刊。詩に対する理解を深めるための入門書。
マラソンの青春：君原健二著。初版は1975年に時事通信社から刊行された。1978年に「ちくま少年文庫」として刊行。マラソン選手としての成長を描いた作品。
ちょっとピンぼけ：ロバート・キャパ著、川添浩史・井上清壱訳。初版は1956年にダヴィッド社から刊行された。1978年に「ちくま少年文庫」として再刊。戦場カメラマンの視点から戦争を描いた作品。
星空の狩人：関つとむ著。1978年に「ちくま少年文庫」として刊行。彗星発見の記録を綴ったノンフィクション。
船とボク：柳原良平著。1978年に「ちくま少年文庫」として刊行。船に関するエッセイ。

これらの作品は、少年たちに勇気や感動、知識を与えるとともに、様々な視点から世界を捉えるきっかけを与えてくれるでしょう。「ちくま少年文庫」は、出版から年月が経過した現在でも、その価値は色褪せることなく、多くの読者に愛され続けています。

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