ちよだ (潜水艦救難母艦)

潜水艦救難母艦「ちよだ」

「ちよだ」（ローマ字：JS Chiyoda, AS-405）は、日本の海上自衛隊が運用している潜水艦救難母艦です。この艦名は、江戸城の別名である千代田城から命名されており、同名の艦艇は4代目にあたります。「ちよだ」は、潜水艦救難艦及び潜水母艦の機能を併せ持つ新しい艦種として位置づけられており、従来の潜水艦救難艦よりも高い救難能力を備えています。計画番号はJ115です。

設計

船体

「ちよだ」の船型はモノハル型であり、全通甲板を持つ遮波甲板型となっています。艦首には高い船首楼があり、艦尾はオーバーハンギングしたトランサム・スターンが特徴です。艦体は3層構造で、深海救難艇（DSRV）や人員輸送カプセル（PTC）を揚降するために、直接海と繋がる開口部「センター・ウエル」が設置されています。この施設は長さ18メートル、幅5.5メートルのサイズを有し、航行時の水中抵抗を減少させるため、開閉式の制波板が取り付けられています。

前部上部構造物内には、1層と0層の2層分があり、ここにDSRVの格納庫が設けられています。艦橋構造物は4層による大きな箱型になっており、外観上の特徴として特筆されます。居住区画は01・02甲板に配置され、後部には潜水艦乗員用の施設も設けられています。また、艦幅いっぱいのヘリコプター甲板もあり、HSS-2ヘリコプターが発着可能です。

機関

艦の機関室は第3甲板と船倉甲板の2層分の高さで設計されており、主機関として2基の中速ディーゼルエンジンが搭載されています。艦の位置を常に適切に保持するために、可変ピッチ・プロペラやサイドスラスターも装備されています。このシステムは、自動艦位保持装置（DPS）と連携して、風や波に応じて艦の位置調整を行います。水中放射雑音の軽減にも配慮されており、防振支持や遮音素材の使用が特徴です。

能力

「ちよだ」は主に潜水艇の運用機能と潜水作業支援機能、潜水母艦機能を持っています。新型潜水艦の登場に伴い、従来の救難方式では対応が難しくなり、本艦は深海救難艇（DSRV）を用いた新しい救難システムを備えています。DSRVは格納庫に収容され、専用の揚降装置を使用して水中に降下させます。このDSRVは、乗員2名と12名の救助人員を収容し、様々な深度での活動が可能です。

また、深海潜水装置（DDS）も搭載されており、遭難潜水艦への支援や減圧治療を行うための機能を持っています。DDSは水圧環境を再現でき多人数の使用が可能です。潜水母艦としての役割では、宿泊施設や補給物資の供給が可能で、潜水艦への給電も行えます。

艦歴

「ちよだ」は1983年に起工、1985年に就役しました。その後、第2潜水隊群に配属され、数多くの重要な任務を遂行してきました。2005年にはロシアの救難活動に参加し、初の国際救難任務を行い、2011年の東日本大震災では災害派遣に従事しました。2018年には除籍されましたが、艦の運用記録には多くの成果が残されています。総航程や運用回数を見ると、多岐にわたる任務において重要な役割を果たしてきたことが伺えます。

「ちよだ」は日本の海上自衛隊において重要な潜水艦救難母艦として、多くの歴史と技術の積み重ねを持つ艦船です。

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