でっかい青春

でっかい青春：熱き青春とラグビーの物語

1967年10月29日から1968年10月13日にかけて、日本テレビ系で放送された『でっかい青春』。東宝制作、テアトル・プロ共同制作による学園ドラマで、『これが青春だ』に続く東宝青春シリーズの第3弾として人気を博しました。

主人公は竜雷太演じる巌雷太。当初の設定は海東市の体育振興係職員でしたが、物語の中盤からは海東高校の体育教師として活躍するようになります。スポーツ万能の彼は、町の不良たちを集めてラグビーチームを作り、若者たちの指導に情熱を注ぎます。

ドラマ開始当初、巌雷太は市役所職員として、スポーツ振興を通じて若者たちの育成に力を注ぎ、社会に貢献しようとしていました。記者会見資料には「勇敢な社会人を作れ」「肥ったブタになるな」というテーマが掲げられていたと伝えられています。しかし、物語が進むにつれて、彼は海東高校の女教師・高見紀美（広瀬みさ）と関わりを持つようになり、次第に高校生の指導に携わる機会が増えていきます。

この変化は、シリーズのマンネリ化を防ぎ、視聴率の回復に大きく貢献しました。プロデューサー岡田晋吉氏によると、学園ドラマを2作続けて制作したことでネタ切れとマンネリ化を懸念し、当初は市役所職員という設定にしたものの、第21話から海東高校の教員、そして体育部長に転身させることで、物語に新たな活気を吹き込んだといいます。

『でっかい青春』におけるスポーツは、シリーズ前作『これが青春だ』のサッカーから、第1作『青春とはなんだ』のラグビーに戻りました。その後、シリーズではラグビーとサッカーが交互にメインスポーツとして扱われるパターンが定着しましたが、『でっかい青春』では、後半からは高校が舞台となり、生徒役のキャストが増えました。梅田智子、菊容子、中沢治夫（後の剛たつひと）、大谷直といった俳優たちが物語に華を添え、彼らの活躍も本作の魅力のひとつとなっています。

主な登場人物は、竜雷太演じる巌雷太の他に、広瀬みさ演じる国語教師の高見紀美、藤田進演じる山村順平校長、名古屋章演じる立石大五郎（体育部長→教頭）など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩っています。また、岡田可愛、寺田農、十朱久雄といったベテラン俳優陣の演技も光ります。

41回に渡って放送された本作は、モノクロフィルム作品で、大正製薬と明治製菓が番組提供を務めました。主題歌は布施明が歌う「でっかい青春」と「青春のマーチ」。いずみたくが作曲・編曲を手掛けたこれらの楽曲も、ドラマを盛り上げる重要な要素でした。さらに、須崎勝彌による小説版『でっかい青春』『続でっかい青春』も出版され、ドラマの人気の高さを物語っています。1993年には『でっかい青春ミュージックファイル』が発売され、いずみたく作曲によるBGMなどが収録されています。

『でっかい青春』は、市役所職員から高校教師へと転身する主人公の成長物語であり、ラグビーを通じて若者たちが友情や絆を育んでいく青春ドラマです。視聴率の回復や、シリーズにおけるラグビーとサッカーの交互採用など、様々な要素が絡み合い、東宝青春シリーズの中でも特に記憶に残る作品となっています。

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