とっぱら〜ざしきわらしのはなし〜

『とっぱら〜ざしきわらしのはなし〜』解説

『とっぱら〜ざしきわらしのはなし〜』は、2008年にキャラメルBOXいちご味から発売されたアダルトゲームです。妖怪が見える主人公が、様々な美女妖怪たちとの出会いを通じて、閉塞した日常から脱却していく物語を描いています。

概要

タイトルの「とっぱら」は、秋田地方の民話でよく使われる「とっぴんぱらりのぷう」という締めくくりの言葉を略したものです。作中には水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿とさせるセリフが登場したり、江戸時代の妖怪絵師である鳥山石燕の画集に登場する妖怪が多く登場するなど、妖怪好きにはたまらない要素が満載です。

注目すべきは、作中の時代設定です。2008年当時、既に普及していた携帯電話や液晶テレビ、インターネットなどがほとんど登場せず、代わりにブラウン管テレビや旧式のラジカセなど、懐かしいアイテムが多数登場します。これらの描写から、1995年頃の日本を舞台にしていると考えられます。また、スタジオジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』に言及するセリフがあることからも、時代設定のヒントが得られます。

あらすじ

物語の舞台は、のどかな田舎町・時枝町。主人公の五日市圭治は、生まれつき妖怪を見ることができる「見鬼（けんぎ）」の能力を持っています。幼い頃、家に憑いていた座敷童のミドリと喧嘩別れして以来、五日市家は衰退の一途を辿ります。さらに、3ヶ月前には両親が事故で亡くなり、残された財産も親戚に持ち去られてしまうという不幸に見舞われます。

ゴールデンウィークのある日、どん底の生活を送る圭治の前に、独り身の男の元に現れるという妖怪・影女の美影が現れます。彼女との出会いをきっかけに、止まっていた圭治の時間が再び動き出すことになります。

登場キャラクター

五日市 圭治（いつかいち けいじ）

本作の主人公。時枝学園に通う3年生で、妖怪を見ることができる「見鬼」の能力を持っています。座敷童のミドリと喧嘩別れしたことが原因で不幸に見舞われていると思い込み、妖怪全般を嫌っています。両親を事故で亡くし、親戚に財産を持ち逃げされた後は、荒んだ生活を送っていましたが、根は物静かで心優しい性格です。

美影（みかげ）

声 - 佐本二厘

影女で、ある日突然圭治の元に現れます。彼女自身だけでなく、圭治の家にも憑いているため、彼と一緒でないと家から出ることができません。家事全般が得意で、世話焼き女房のような存在です。実は、圭治のことが好きになったミドリの半身が転生した姿です。

幸子（さちこ）

声 - 木村あやか

疫病神で、ミドリの後釜として圭治の家に憑いています。影女とは異なり、単独で家から出ることができますが、あまり遠くには行けません。実はミドリが影女に転生した際に飛び出した半身が、疫病神と結びついた存在です。圭治の不幸がエネルギーの源であり、彼が幸せになると元気がなくなります。

瀬織（せおり）

声 - 深井晴花

篠橋に住み着いた橋姫。彼女の影響で、篠橋は「カップルで渡ると別れる」という噂が立ち、「別れ橋」と呼ばれるようになりました。漫画好きで、怒るとすぐに手が出ることもあります。過去の恨みから橋姫となり、占い師として生計を立てています。

千鶴美（ちづみ）

声 - 金田まひる

圭治のことを「ご主人様」と呼ぶ、動物の化身のような少女。変化の際に無理をしたためか、記憶をほとんど失っています。縁起物を見つけては圭治の元に持ってくるため、幸子にとっては天敵のような存在です。実は、圭治が幼い頃に保護したツチノコの化身です。

白沢 佐久夜（しらさわ さくや）

声 - まきいづみ

白沢商店に現れた白澤。人の姿を取ることができ、カウベルや牛模様のエプロンを身につけています。菜食主義の大食漢です。実は白澤ではなく、件（くだん）という妖怪で、予言が曖昧なのはそのためです。

藤花（とうか）

声 - 青山ゆかり

長い眠りから覚めた妖狐。藤湯神社に祀られていますが、祭神とは異なります。過去の行いを反省し、善い妖狐になるべく努力していますが、何をしたらいいのかわからず温泉三昧の日々を送っています。稲荷寿司が好物で、玉藻の前本人と名乗っています。

イソラ

声 - 水鏡

圭治の幼馴染みの河童。以前は少年の姿をしていましたが、圭治が成長して女性と接しているのを見てからは、少女の姿を取るようになりました。きゅうりが好物で、一人称は「ボク」です。住処である元木川の環境汚染を心配しています。

瑞原 穂波（みずはら ほなみ）

声 - 安玖深音

時枝学園の3年生で、郷土史研究部の部長。妖怪・怪異好きが高じて、部を妖怪研究会と化しています。巫女の真似事ができ、妖怪の存在を感じることができます。メインヒロインの中で唯一の人間キャラです。

その他

本作には、魅力的なキャラクターたちによるコミカルな日常や、ちょっぴり切ない恋愛模様が描かれています。妖怪や伝承に興味がある方はもちろん、ノスタルジックな雰囲気を楽しみたい方にもおすすめです。

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