化身

化身（けしん）

「化身」とは、仏教用語で、サンスクリット語の「nirmāṇakāya」の訳語です。大乗仏教における仏の三身の一つであり、仏が人々を救済するために、さまざまな姿で現れることを意味します。「応身」という訳語も同じ意味で用いられます。

仏教における化身

元来、化身は応身と同義であり、釈迦を含む過去七仏は、仏の化身の代表的な例とされています。チベット[[仏教]]においては、優れた宗教者は化身と考えられ、その没後には「生まれ変わり」を探し、同一人物として敬う「化身ラマ」という制度が14世紀から16世紀にかけて普及しました。これは「転生活仏」とも呼ばれます。

他の宗教における化身

キリスト教においては、ニケア信条によってイエス・キリストは「神よりの神」の化身と定義されています。これは「受肉」という概念で表されます。また、聖書には聖霊が鳩の姿で、サタンが蛇の姿で登場する場面があります。

ヒンドゥー教では、三大神の一柱であるヴィシュヌ神が、釈迦、少年僧、獅子人、魚、亀、野猪など、さまざまな姿に化身したとされています。これについては、アヴァターラの項目で詳しく説明されています。

伝説や伝承における化身

日本の伝説や伝承においても、「化身」は広く用いられています。例えば、葛の葉の伝説では、狐が人間の姿に化けて現れる話が語り継がれています。また、戦国時代の武将である上杉謙信は、毘沙門天の化身であったという説があります。

文学・童話・コミックアニメ作品における化身

「化身」は、文学作品や童話、コミックアニメ作品にも登場します。手塚治虫の漫画『ブッダ』では、仏教の開祖である釈迦が、さまざまな苦難を乗り越えていく姿が描かれています。また、民話『鶴の恩返し』では、鶴が人間の姿に化けて恩返しをする物語が語られています。さらに、ライトノベル『狼と香辛料』にも、狼の姿をした賢狼ホロが登場し、人間の主人公とともに旅をします。

化身の概念の広がり

日本では、仏教における化身の概念が広がるにつれて、神や精霊、空想上の生物が人間の姿をとる場合にも「化身」という言葉が使われるようになりました。また、神や精霊、悪魔が動植物の姿で現れる場合も同様に用いられます。化身の元の姿は「正体」と呼ばれます。

関連する用語

• - アヴァターラ：ヒンドゥー教における神の化身のこと。
• - アバター：インターネット空間などで使用される自分の分身となるキャラクターのこと。
• - 現人[[神]]：人間でありながら神とみなされる存在のこと。
• - 化け狸：狸が人間に化けたもの。
• - 化け狐：狐が人間に化けたもの。
• - 化け猫：猫が人間に化けたもの。

このように、「化身」は、宗教、伝説、文学など、さまざまな分野で用いられる興味深い概念です。

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