なごみーず

「なごみーず」は、1970年代を中心に日本のフォーク・ニューミュージックシーンを彩った実力派アーティスト三名によって結成された音楽ユニットです。メンバーは、フォークグループ「かぐや姫」やフォークデュオ「風」での活動、そして数々の名曲創作で知られる伊勢正三。

そして、「木綿のハンカチーフ」をはじめとするヒット曲で広く知られるシンガーソングライターの太田裕美。

さらに、伝説的なフォークロックバンド「ガロ」の主要メンバーとして活躍した大野真澄という、それぞれが輝かしいキャリアを持つ顔ぶれです。

結成の経緯と「アコースティックナイト」

この三人が共に活動を始めるきっかけとなったのは、2004年10月22日に静岡県富士市で開催された伊勢正三と太田裕美によるジョイントコンサートでした。この成功を受けて、同年11月19日の島根県多伎町での公演から大野真澄が加わり、自然な流れの中で現在の三人体制が確立されました。

当初、彼らのユニットには特定の名称がなく、「伊勢正三・太田裕美・大野真澄」と個々の名前を連ねて活動していました。しかし、彼らが全国各地で展開する「アコースティックナイト」と題されたコンサートツアーの最中、ある公演中に太田裕美が「なごみーず」という名前を提案したことから、この親しみやすいユニット名が誕生しました。他の候補として挙がったという「ピンク唐揚げ」や「喜び組」といったユニークな名前を退け、「なごみーず」という名称は、彼らの温かみのある音楽性と観客との和やかな雰囲気をよく表しています。

「なごみーず」の活動の柱は、全国各地で継続的に行われている「アコースティックナイト」コンサートツアーです。このステージでは、メンバーそれぞれのソロやかつてのグループ時代の代表的なヒット曲はもちろん、彼らが愛する様々な楽曲が、アコースティック楽器を中心とした柔らかなアレンジで披露されます。ベテランならではの深みのある歌声と円熟した演奏、そして三人の軽妙なMCが織りなすアットホームな空間が、多くの音楽ファンを魅了しています。彼らの精力的なライブ活動は着実に回数を重ね、2010年 5月15日には記念すべき150回目の公演を達成しました。

記念CDリリース

活動の節目には、記念となるCDもリリースされています。コンサート開催100回を記念して、2007年 12月2日にはライブ音源を収めたアルバム『アコースティックナイト』を会場と通販限定で発売しました。続いて、150回記念の2010年 5月15日には、スタジオ録音による第2弾アルバム『アコースティックナイト・2nd』を発表。さらに、200回記念を迎えた2014年 11月8日には、第3弾となるアルバム『アコースティックナイト・3rd』がリリースされました。

これらのアルバムには、伊勢正三の「22才の別れ」や「海岸通」、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」や「九月の雨」、大野真澄の「学生街の喫茶店」や「君の誕生日」といった各メンバーの代表曲が収められています。また、荒木一郎の「空に星があるように」、大瀧詠一の「さらばシベリア鉄道」、ジョン・レノン＆オノ・ヨーコの「Happy Xmas /War is Over」など、彼らが敬愛するアーティストの楽曲もカバーしており、幅広い音楽性の一端を垣間見ることができます。『アコースティックナイト 3rd』には、なごみーずとして初めて共作したオリジナル楽曲「僕らはちっぽけな夢をほどきながら」も収録されており、ユニットとしての創造性も示されています。

各メンバーの個性

「なごみーず」を構成する三人は、それぞれが独立したアーティストとしても活動を続けています。伊勢正三は、「かぐや姫」や「風」で多くの人々に愛される楽曲を手がけ、ソロとしても高い評価を得ています。「なごり雪」は、彼が作詞・作曲しイルカが歌唱して大ヒットしました。太田裕美は、透明感と力強さを兼ね備えた歌声で、「木綿のハンカチーフ」以降も常に新しい音楽表現を追求しています。大野真澄は、「ガロ」として一時代を築いた後もソロ活動を展開し、その円熟した歌声と温かい人柄でファンを魅了しています。

三者三様の個性が融合することで生まれる「なごみーず」の音楽は、懐かしさの中にも新鮮な響きを持ち、聴く者に安らぎと感動を与えてくれます。長年のキャリアで培われた確かな実力と、音楽への真摯な姿勢が、彼らのステージを特別なものにしています。彼らの「アコースティックナイト」は、単に往年の名曲を聴くだけでなく、三人の人柄に触れ、温かい時間を共有できる場として、多くのファンに愛され続けています。

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