なついろレシピ

なついろレシピ

『なついろレシピ』は、美少女ゲームブランドPULLTOP Airの処女作として、2015年5月29日に世に送り出された作品です。ジャンルはオーソドックスな恋愛アドベンチャーゲームで、プレイヤーは物語を読み進めながら、個性豊かなヒロインたちとの交流を深めていきます。

物語の始まり

物語は、主人公である大学生、杜丘岳史の元に一通の手紙が届くことから始まります。それは、長らく疎遠だった父に宛てられたもので、差出人は父の「娘」と名乗る見知らぬ少女でした。困惑を隠せない岳史でしたが、導かれるようにして高原の山村、白珠村へと足を運びます。そこで彼を待っていたのは、手紙の差出人である異母妹の八重原柚と、彼女の祖母が切り盛りしていた古い食堂でした。唯一の肉親であった祖母を亡くし、一人取り残された柚と、図らずもその保護者となった岳史。二人は手を取り合い、閉鎖されてしまった食堂を再び開くことを決意します。

登場人物

本作には、魅力的なキャラクターたちが登場し、物語を彩ります。

杜丘 岳史（もりおか たけふみ）
身長180cm。大学四年生。東京育ちの彼は、優しく誠実ですが、少し不器用な面も。生まれつきの威圧感のある風貌と寡黙さから誤解されがちです。突然現れた腹違いの妹・柚との共同生活を機に、慣れない田舎暮らしに順応しようと奮闘します。実は腹違いの姉妹が複数おり、柚は4人目の妹でした。

八重原 柚（やえはら ゆず）
声 - 市川ひなこ / 身長153cm、B78/W56/H80。岳史の異母妹。過去の経験からか、やや後ろ向きな思考を持ちがちですが、祖母の食堂を再開させるために尽力します。料理は苦手ですが、メニュー考案などを担当。どんな些細なこともメモする几帳面な一面も。

早蕨 すずな（さわらび すずな）
声 - くすはらゆい / 身長157cm、B88/W57/H84。明るく好奇心旺盛な少女。都会への憧れが強く、甘いものが大好きです。少し天然なところがあり、都会に関する知識が独特なことも。

早蕨 こごみ（さわらび こごみ）
声 - 秋野花 / 身長144cm、B74/W53/H74。すずなの妹。純真無垢で、手先が器用。生活の知恵に詳しく、時折おばあさんのような口調になることから「こごみおばあちゃん」と呼ばれることも。山菜を好みますが、生卵の白身は苦手。

* 鰺ヶ沢 椋香（あじがさわ りょうか）
声 - 羽鳥いち / 身長164cm、B90/W59/H86。引き締まった体格で、年下の面倒見が良い少女。将来は猟師になることを夢見ており、山をこよなく愛します。釣りの腕前は確かで、魚を捌くのも得意。祖父からは頭が良いが素行が悪いと評されています。

他にも、柚を慕う村長の孫娘・小田巻花梨や、村の診療所の女医・荻野未季、すずなたちの母・早蕨あざみなど、個性豊かな村人たちが物語に関わってきます。

舞台となる村

物語の主な舞台は、東京都心から電車で約5時間離れた高原にある山村「白珠村」です。豊かな自然に囲まれたこの村は、都市文明はある程度整備されていますが、住民の多くは自給自足に近い生活を送っています。柔らかく甘いと評判の「白珠レタス」や、地元でしか味わえない地酒「豚神祀」が名産品です。

柚と岳史が再開を目指す食堂は、元水車小屋だった建物を改装したもので、村の中心部から少し離れた台地にひっそりと佇んでいます。村の中心部には、郵便局やスーパー兼直売所、村役場などの施設が集まっています。

音楽とスタッフ

本作の音楽はヤヅチスエタ氏が手掛けており、オープニングテーマ「わたしのさしすせそ」とエンディングテーマ「ふたりごはん」は、柚役の市川ひなこさんが歌唱しています。初回版には、これらの主題歌を含むゲーム内BGM全23曲を収録したサウンドトラックが特典として同梱されました。

企画・ディレクションは朝妻ユタカ氏、シナリオは佐藤礼氏、折畑啓助氏、高嶋栄二氏が担当。キャラクターデザイン・原画は、のん氏、はる雪氏、作々氏が手掛けています。

商業的な評価

発売月の2015年5月には、PCpressの集計で売り上げ10位、Getchu.comの集計で11位を記録しました。年間を通じた集計では、Getchu.com、アダルトゲーム月刊誌『BugBug』ともに上位圏外となりましたが、萌えゲーアワード2015では35位を獲得しました。

本作は、突然始まった兄妹の共同生活を軸に、田舎での温かい交流や、登場人物それぞれの成長を描いた、心に染みる夏の物語としてファンに迎え入れられました。

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