にぐるまひいて

にぐるまひいて (Ox-Cart Man)

『にぐるまひいて』は、著者ドナルド・ホールとイラストレーターバーバラ・クーニーによる美しい絵本で、アメリカの児童文学における名作として知られています。この作品は1980年にコールデコット・メダルを受賞し、多くの読者に愛されています。

物語の概要

物語は19世紀初頭のニューハンプシャー州を舞台に、一家の農夫が日々どのように生活し、働いているかを描写しています。主人公である父親は牛車を使い、ポーツマスの市場に自らの収穫物を運びます。そこでは、彼の労働の成果が金銭に変わり、得られたお金を使って次の年に必要な物資を購入します。さらに、副産物として、牛車やその牛も売りに出され、金銭に換えられます。このように、物語は自己循環的な経済活動を探求し、読者に農業の現実を伝えています。

本書はもともと、ホールが1977年に『ザ・ニューヨーカー』誌に発表した詩「Ox-Cart Man」が基盤となっています。その後、ホールはこの詩に手を加え、子供向けの絵本へと展開しました。バーバラ・クーニーは、イラストを通じて物語に生命を吹き込み、特に彼女の独特なスタイルが本書の魅力を一層引き立てています。

イラストの重要性

バーバラ・クーニーは、かつて『チャンティクリアときつね』でコールデコット・メダルを受賞した著名なイラストレーターであり、彼女の手によるイラストは視覚的にも多くの子供たちに響くものがあります。彼女の作品は、物語の情景や感情を生き生きと表現しており、文字だけでは伝えきれない部分を補っています。この絵本では、農業の営みや家族の絆といったテーマが柔らかなタッチで描かれ、読者に温かさを提供します。

日本語版

日本語訳はもきかずこの訳によって1980年10月にほるぷ出版から刊行されました。日本語版も出版当初から新聞で好意的に評価され、読者の間で広まっていきました。このように『にぐるまひいて』は、日本でも親しまれる作品となっています。

教育的意義

この本は、自然との共生や経済活動の重要性、家庭の価値を教えてくれるだけでなく、サイクルの重要性を感じさせる教育的な側面も含んでいます。読み聞かせや教室での教材としても利用されることが多く、子供たちが歴史や文化を学ぶきっかけとなる一冊と言えるでしょう。さらに、『Reading Rainbow』の第2シーズンで取り上げられたことで、新たな読者層も開拓されています。

結論

『にぐるまひいて』は、歴史的背景に基づいた緻密な物語と魅力的なイラストが融合した作品であり、大人から子供まで楽しむことができる絵本です。リズム感あふれる言葉の響きと、心に響くストーリーは、読む者に深い印象を与えるでしょう。

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