のじま型巡視船

のじま型巡視船について

のじま型巡視船（英語: Nojima-class patrol vessel）は、海上保安庁が運用していた巡視船の一つで、 PL型に分類される900トン型の船です。この艦船は、特に気象観測業務を念頭に置いて設計されており、近年の技術革新を取り入れた結果、より高い性能を実現しています。

背景

のじま型巡視船の誕生は、1954年度に遡ります。この時、日本の運輸省中央気象台は、旧海軍から編入された海防艦5隻を基に、おじか型巡視船を運用していました。これらの艦船は、国の警備救難業務に従事するとともに、特に南方における気象観測も行っていました。しかし、これらの海防艦は戦時中に急造されたものであり、老朽化が進んでいました。そのため、新しい巡視船の建造が必要とされました。

日本は、1970年台に入ると、気象観測の必要性が高まり、特に台風シーズンには安定した観測が求められるようになりました。そこで、海上保安庁は、気象観測専用の新型巡視船を建造する計画を立て、その中でのじま型が設計・建造されたのです。

設計と特徴

この巡視船の設計においては、気象観測の性能が最も重視されています。台風の影響を受ける海域においても、復元性が高く、安定して観測業務を遂行できるように考慮されています。舷窓や出入り口を密閉できる設計が施されており、長期間の観測でも快適な環境が保たれています。

のじま型巡視船では、特にMN式減揺水槽が搭載されています。この装置は、観測業務の際に船体の揺れを抑える役割があります。これにより、ラジオゾンデを放出する際の精度が向上し、観測員にとって非常にメリットとなりました。古い海防艦型とは異なり、士官室や乗組員の居室には冷房装置が設けられるなど、居住性にも配慮がなされています。

さらに、主機関には浦賀-スルザー6MD42という中速ディーゼルエンジンが搭載されており、荒天時でも安定した運転が可能です。このエンジンは、低速での運転でも高い信頼性を誇り、避航時には迅速な速力を発揮します。

運用と用途

1981年11月以降、富士山レーダーや気象衛星「ひまわり」の導入により、南方観測業務が廃止されると、のじま型は警備救難を主な任務とする巡視船として活用されるようになりました。これにより、海上保安庁の中での役割と必要性が変化しましたが、船自体の高い性能と信頼性はその後の運用においても変わることはありませんでした。

結論

のじま型巡視船は、海上保安庁の重要な船舶の一つであり、特に気象観測において重要な役割を果たしました。その設計は、厳しい海況でも信頼できる性能を求められ、長期間の運用が可能となるよう工夫が凝らされています。今後も、その技術と性能が多くの場面で役立つことが期待されます。

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