はじめてのおつかい (テレビ番組)

『はじめてのおつかい』：子供たちの成長を見守る人気ドキュメンタリー

『はじめてのおつかい』は、日本テレビ系列で1991年から不定期に放送されている長寿バラエティ番組です。この番組は、幼い子供たちが親から頼まれた初めての「おつかい」に挑戦する様子を、ドキュメンタリータッチで描いています。2022年12月1日時点で合計75回放送されており、30年以上にわたって多くの視聴者に愛され続けています。

番組の概要

番組のコンセプトは、子供が生まれて初めて一人で、または兄弟姉妹や友達と一緒に「おつかい」に挑戦する姿を追うことです。1976年に発表された同名の絵本が番組立ち上げのきっかけとなっています。もともとは1988年から1994年まで放送されていた情報番組『追跡』の一コーナーでしたが、その後、単発スペシャル番組として不定期に放送されるようになりました。

現在は年に2回、冬のスペシャル（1月第1月曜日または成人の日）と夏のスペシャル（海の日）が放送されています。おつかいに挑戦する子供は、一般視聴者から選ばれ、年齢は3歳から6歳（保育園児や幼稚園年少から年長）が多いですが、稀に1歳や2歳の子も出演することがあります。番組では、子供にメモを持たせず、口頭で用件を伝えるのみで、子供たちが買い忘れや間違いをしてしまう様子もリアルに描かれています。番組を通じて、子供たちの自立を応援するとともに、親子関係や育児・教育について改めて考える機会を提供しています。

番組内では、新作だけでなく、過去の放送で「おつかい」に挑戦した子供たちの成長した姿を追う「あれから○○年…」シリーズも放送され、親子二代にわたって「おつかい」に挑戦するケースも登場しています。視聴率は毎回15%から20%を記録する人気番組で、過去には世帯視聴率26.1%を記録したこともあります。

ナレーターは、林家たい平、入絵加奈子らが担当し、長年番組を支えた近石真介は2022年に亡くなるまで約30年間担当しました。近石の没後も、過去の映像などで彼のナレーションが引き続き使用されています。

2022年3月からはNetflixでダイジェスト版『Old Enough!』（もう大きいもん）が世界約190カ国に向けて配信され、海外でも人気を博しています。

制作過程と配慮

番組制作では、出演する子供たちや家族への細やかな配慮がなされています。一般視聴者を対象としているものの、公募は行わず、役所などを通じて紹介された保育所や幼稚園に案内書やアンケートを置き、保護者との打ち合わせを重ねて出演者を決定しています。保護者との打ち合わせでは、おつかいのプランやルートを検討し、保護者とスタッフが共同で現場を下見し、安全面をチェックしています。この作業は数ヶ月に及ぶこともあります。子供の名前は番組中では下の名前のみが紹介され、保護者の氏名は原則として表記されません。

撮影時には、スタッフは日本テレビの入構証を所持し、保護者から取材承諾書を取得しています。また、余計な演出は一切加えず、子供が家から一歩も出ずに終わってしまう場合は、そのままお蔵入りとなることもあります。年間で約100人の子供のおつかいを撮影していますが、実際に放送されるのはその10分の1程度です。

撮影の工夫

撮影では、事故やトラブルを避け、子供に撮影であることを悟られないように様々な工夫が凝らされています。

おまもりマイク：子供の声や歌を遠くから収録するため、ワイヤレスマイクを「お守り袋」に入れ、子供に手渡します。親が「お守りには神様がいる」と説明することで、子供はマイクの存在に気づきません。このマイクは首から下げることで、口元の良い位置に届くようになっています。

撮影スタッフ：ディレクターやアシスタントディレクターがカムコーダで撮影するのが主で、業務用ビデオカメラは車内や子供が帰宅した際に使用します。スタッフは、工事関係者やお店の客など、一般人に紛れるような服装をしています。子供が急に行き先を変えた場合は、スタッフが瞬時に対応し、必要に応じて着替えることもあります。時には、自転車を徒歩で追いかけなければならないこともあります。

カメラ：カメラは、前日の夜間や深夜に取材先の家に設置し、バレないように隠されています。屋外では、かごや箱の中に、屋内では植木鉢やダンボールなどにセットされます。そのため、番組では初期から小型の家庭用カメラが多用されてきました。

その他のスタッフ：撮影スタッフの他に、子供の安全を守る監視役のスタッフも多数おり、カメラマン同様の工夫を凝らした服装をしています。また、海上自衛隊など普段撮影できない場所では、事前に撮影許可を得ています。

近所の人の協力：近所の人には事前に撮影があることを伝えていますが、過度に手助けをしないことや、子供に撮影を気づかれないように協力をお願いしています。

出演者

司会：
所ジョージ
森口博子

ナレーター：
入絵加奈子 (2010年 - )
立川志の太郎 (2017年 - )
林家たい平 (2021年 - )
野沢雅子 (2011年 - 、不定期)

過去のナレーター：
近石真介 (1991年 - 2022年)
山本圭子 (1991年 - 2011年)
室井滋 (2007年 - 2011年)
花江夏樹 (2021年 - 2022年)
麻生美代子
内海賢二

ゲストナレーター：
坪倉唯子 (2013年1月)
高橋克実 (2016年1月、2021年1月)
貫地谷しほり (2014年7月、2015年1月、2016年7月)
八嶋智人 (2016年7月、2017年1月)
石原さとみ (2021年1月)

有名人の子によるおつかい：近年では、スタジオにゲスト出演する有名人の子供がおつかいに挑戦する企画もあります。

スタッフ

番組には多くのスタッフが関わっており、それぞれの役割を果たしています。
（詳細は割愛）

テーマソング

主題歌: ドレミファだいじょーぶ / B.B.クィーンズ
* オリジナル挿入歌: しょげないでよBaby / B.B.クィーンズ、近藤房之助、他

海外展開

『はじめてのおつかい』は、イタリア、ベトナム、イギリス、中国など、様々な国で現地版が制作・放送されています。また、香港、台湾、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、アメリカ合衆国ハワイ州では、当番組が現地語に吹き替えられて放送されています。

Netflixでの配信をきっかけに、アメリカの人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』でパロディが制作されるなど、海外での注目度も高まっています。

評価

海外では、日本の治安の良さや自立心を重視する子育て文化を背景にした番組のコンセプトに対し、様々な意見が出ています。肯定的な評価としては、子供たちの成長を温かく見守る内容が高く評価される一方で、幼児におつかいをさせることへの危険性を指摘する声や、過剰な演出に不快感を示す声もあります。

備考

過去には、東日本大震災の影響で放送取り止めとなった番組の代わりに、当番組の傑作選が放送されたこともあります。また、25周年記念企画や、家族をテーマにした特別版、24時間テレビとのコラボ企画など、様々な特別企画も放送されてきました。

『はじめてのおつかい』は、子供たちの成長を記録するだけでなく、家族のあり方や育児についても考えさせられる、奥深い番組です。これからも、多くの視聴者に感動と笑顔を届けてくれることでしょう。

もう一度検索