はだかの王様 (劇団四季)

劇団四季ファミリーミュージカル『はだかの王様』

『はだかの王様』は、世界中で親しまれているデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの不朽の名作『裸の王様』をミュージカル化した作品です。日本の代表的な劇団である劇団四季が、ファミリーミュージカルとして創作・上演しています。

この作品は、日本における児童向けミュージカルの歴史においても重要な位置を占めています。1964年、ニッセイ名作劇場の記念すべき第1回公演として産声を上げました。これは、半世紀以上にわたる上演の歴史の始まりであり、多くの日本の子供たちが初めて本格的なミュージカルに触れる機会となりました。その後もニッセイ名作劇場では、1988年には『新・はだかの王様』としてリニューアル上演され、2001年にも再び上演されています。また、全国主要都市の小学6年生を対象とした文化体験プログラム『こころの劇場』の一作品としても選ばれており、次世代を担う子供たちに舞台芸術の感動を届けています。

『はだかの王様』の物語は、権威や虚飾を批判し、真実を見抜くことの大切さ、そして純粋な心を持つことの尊さを教えてくれます。王様が仕立て屋と偽ったペテン師たちに騙され、実際には見えないはずの「素晴らしい衣装」を着ていると思い込む滑稽さと、それに対して誰もが異を唱えられない大人の世界の欺瞞を鮮やかに描き出します。そして、群集の中でただ一人「王様は、はだかだ！」と叫ぶ子供の純粋な声が、凝り固まった常識や同調圧力に風穴を開けるクライマックスは、観る者に深い感銘と教訓を与えます。劇団四季は、この普遍的なテーマを、歌やダンスを交えたエンターテイメント性の高いミュージカルとして創り上げています。子供から大人まで、誰もが楽しめる明るく楽しい雰囲気の中に、物語が持つ鋭いメッセージが込められています。

長年にわたる上演を支えてきたスタッフには、日本の演劇界を代表する名が並びます。

構成・演出：浅利慶太
台本：寺山修司
作曲：三木たかし、いずみたく、宮川彬良
振付：謝珠栄、篠井世津子
美術：土屋茂昭
照明：沢田祐二、紫藤正樹
衣装：森英恵、大石若草子

また、物語の中心を担う個性豊かなキャラクターたちを演じてきた歴代のキャストも多数います。特に、見栄っ張りで純粋さを見失った王様、王様を欺く狡猾なペテン師たち（スリッパとスリップ）、そして物語の鍵を握る子供ホックなど、主要な役には多くの実力派俳優が名を連ねています。

王様：日下武史、岡本隆生、味方隆司、深見正博、牧野公昭、澁谷智也 など
ペテン師スリッパ：加藤敬二、坂本剛、味方隆司、上川一哉、蔦木竜堂、新庄真一 など
ペテン師スリップ：八重沢真美、井田安寿、土井礼子、原口明子、間辺朋美、服部ゆう など
ホック：関根麻帆、手島梓、木村仁美、豊田早季、小山百合恵、稲葉愛夢、渡邊友紀 など
アップリケ：江上健二、川口雄二、吉賀陶馬ワイス、雲田隆弘 など

『はだかの王様』は、初演以降、実に多くの回数、日本全国で上演されてきました。主な上演記録だけでも、その上演頻度の高さがうかがえます。

ニッセイ名作劇場
第1回（1964年）
第25回（1988年）※『新・はだかの王様』として
第38回（2001年）
一般公演
1990年12月～1991年1月：日生劇場（東京初演）
2001年7月～10月：全国公演（各地で初演）
2004年11月～2005年4月：全国公演（各地で凱旋）
2005年7月：JR東日本アートセンター自由劇場（東京凱旋）
2010年1月～3月：全国公演
2010年7月～8月：自由劇場
2011年5月～2012年3月：全国公演
2012年12月～2013年1月：自由劇場
2013年4月～5月：新名古屋ミュージカル劇場
2013年7月～2014年3月：全国公演
2019年5月～2020年3月：全国公演（一部中止）

このように、『はだかの王様』は、日本の子供たちにとって長く親しまれてきたミュージカルであり、劇団四季のレパートリーの中でも特に重要な作品の一つと言えます。その普遍的なメッセージと楽しい舞台は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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