はまかぜ (列車)

特急「はまかぜ」：但馬地方と鳥取へのアクセスを担う特急列車

特急「はまかぜ」は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運行する特別急行列車です。大阪駅を起点に、播但線、山陰本線経由で豊岡駅、城崎温泉駅、香住駅、鳥取駅へと至ります。北近畿ビッグXネットワークを構成する主要列車のひとつとして、関西と但馬地方、鳥取県東部を繋ぐ重要な役割を担っています。

列車の概要と歴史

「はまかぜ」は、兵庫県但馬地方と、県南部の姫路市、神戸市、大阪市を結ぶ主要な交通手段です。福知山線経由の特急「まつかぜ」の補完を目的とし、1972年に新大阪駅・大阪駅―鳥取駅・倉吉駅間で運行を開始しました。当初は播但線経由で運行され、姫路駅での新幹線との接続も考慮されていました。現在では、智頭急行線経由の特急「スーパーはくと」が大阪―鳥取間の輸送を担っており、「はまかぜ」は「こうのとり」と競合しながら、大阪駅からの利用よりも、神戸・播磨地域（三ノ宮駅以西）からの利用が多い傾向にあります。
列車名は、鳥取砂丘に吹き付ける浜風から名付けられ、1955年に国の天然記念物に指定された日本最大級の砂丘への想いが込められています。

運行状況と停車駅

2024年3月現在、「はまかぜ」は大阪駅―鳥取駅間を1往復、大阪駅―香住駅間を1往復、大阪駅―豊岡駅間（下り1本）、大阪駅―城崎温泉駅間（上り1本）が運行されています。多客期には大阪駅―浜坂駅間に臨時列車が設定されるほか、「かにカニはまかぜ」も運転されます。
2012年のダイヤ改正では、地上設備の改良工事完了に伴いスピードアップが実現し、所要時間が最大15分短縮されました。列車番号は号数+Dで表記され、大阪発の下り列車は奇数を使用します。臨時列車や「かにカニはまかぜ」は異なる番号が割り当てられています。
停車駅は、大阪駅、三ノ宮駅、神戸駅、明石駅、（西明石駅、加古川駅）、姫路駅、福崎駅、寺前駅、生野駅、（竹田駅）、和田山駅、八鹿駅、江原駅、豊岡駅、城崎温泉駅、竹野駅、香住駅、浜坂駅、岩美駅、鳥取駅です。一部列車は停車しない駅もあります。多客期には臨時停車する駅もあります。また、上り6号は大阪駅到着後、「らくラクびわこ4号」として草津駅まで運行されますが、車内点検と清掃のため一度ドアが閉まり、乗客は一度降車する必要があります。

使用車両と編成

2010年11月7日からは、キハ189系気動車が使用されています。グリーン車は無く、基本的には3両編成で、多客時には6両編成になります。2021年3月13日からは全席指定席となりました。以前はキハ80系、キハ181系が使用されていました。キハ80系時代には食堂車も連結されていた時期もありました。

臨時列車

「はまかぜ」以外にも様々な臨時列車が運行されてきました。「かにカニはまかぜ」は、カニのシーズン（11月～3月）を中心に、大阪駅―浜坂駅間で1往復運転されています。当初は展望室のある車両を使用していましたが、現在はキハ189系を使用しています。2010年度からは、余部橋りょうの架け替えにより、浜坂駅まで運行区間が延長されました。その他にも、「味めぐり浜坂」、「味めぐり但馬カニスキ」、「シュプール神鍋・鉢伏」、「但馬ビーチ」、「マリンはまかぜ」などの臨時列車が過去に運行されていました。

乗車制度の特例

大阪駅・尼崎駅―和田山駅間では、播但線経由で乗車した場合でも、福知山線経由の運賃・料金が適用される特例があります。これは「はまかぜ」と「まつかぜ」等の関係から生まれた制度で、但馬地方と大阪方面の往来客にとって有用な制度となっています。

播但線優等列車の沿革

播但線では、「はまかぜ」以外にも多くの優等列車が運行されてきました。「但馬」は1952年に快速列車として運行を開始し、その後準急、急行を経て、「はまかぜ」の運行開始に伴い減便、廃止されました。「ゆあみ」は城崎温泉への観光客輸送を目的とした列車で、「但馬」に統合される形で廃止されました。これらの列車の歴史は、「はまかぜ」の歴史を語る上で重要な要素となっています。

まとめ

特急「はまかぜ」は、長年にわたり関西と但馬地方、鳥取県東部を繋ぐ重要な役割を担ってきた列車です。その歴史と運行状況、そして沿線の魅力を理解することで、より深い旅の楽しみが得られるでしょう。 様々な歴史的経緯や運行状況の変化を経て現在に至る「はまかぜ」の物語は、日本の鉄道史の一端を垣間見せてくれます。今後の発展にも期待したいところです。

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