ばってん荒川

ばってん荒川：笑いを届けた肥後の巨星

ばってん荒川（1937年2月8日 - 2006年10月22日）は、熊本県出身の肥後にわか役者、ローカルタレント、演歌歌手、舞台役者として、長年にわたり九州地方で活躍しました。本名は米嵜一馬（米崎一馬とも表記）。戦後、存続が危ぶまれた肥後にわかを復活させ、支えたことから「肥後にわかの巨匠」と評され、九州では佐賀の筑紫美主子と並ぶ「にわか芸の大家」として知られています。

生い立ちと芸の道

実父は漫才師の荒川九州男。少年時代は養父との確執から荒れた生活を送りました。中学卒業後、様々な職を転々とした後、実父と同じ芸能界へ。1955年、肥後にわかの劇団「ばってん組」に入団し、翌年には「お米ばあさん」のキャラクターで人気を博しました。芸名は当初「肥後ばってん」でしたが、後に「ばってん荒川」に改名。「ばってん劇団」の団長として、がね政ことばってん太郎とコンビを組みました。

芸風と活躍

和服姿と熊本弁での軽妙な語りが特徴で、「肥後にわか」の中心人物として人気を集めました。ラジオ熊本の番組でメディアデビュー後、1968年には熊本市に演芸酒場「お米」を開店。1970年代には『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』に出演し、全国的にも知られるようになりました。しかし、その後は九州での活動にこだわり続け、東京での仕事はほとんど行いませんでした。ビートたけしなど大物芸人からも誘いがありましたが、「余計な仕事はしたくない」と断ったと言われています。

テレビ・ラジオではお米ばあさんとして女装姿で出演することが多かった一方、レコードやCDのジャケットでは男装で歌を披露していました。そのため、かつてはお米ばあさんの扮装が女装だと知らなかった人もいたそうです。

晩年と死

2006年3月から糖尿病治療のため芸能活動を休止。同年10月22日、膀胱癌による心不全のため69歳で死去。その死はローカル局だけでなく、キー局のニュースでも取り上げられ、多くの人に惜しまれました。

葬儀には、ビートたけし、北島三郎、西川きよしなど、多くの著名人が参列。熊本県は荒川の功績を称え、「熊本県地域文化特別功労賞」を贈呈しました。

エピソード

老女の役を演じるため、徹底的に老女の動作や所作を研究していた。
博多華丸が、ものまね芸の代表的レパートリーとして演じている。
江頭2:50は、ばってん荒川が好きだったためデビュー当時は「バッテン江頭」の芸名を名乗っていた。
パチンコ好きで知られ、「チマチマ打つな」「引き際が肝心」と口にしていた。
世話好きで、後輩などをよく飲みに連れて行った。
西原理恵子は自身のキャラクターである毎日かあさんの造型の際に意識した人物の一人。

出演

テレビ：『テレビタミン』、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』など多数
ラジオ：『ばってん荒川 ぴら〜っと登場!』など多数
映画：『トラック野郎・男一匹桃次郎』、『静かなるドン』など

代表曲

火の国一代
* 帰らんちゃよか

ばってん荒川は、そのユーモアと温かい人柄で、多くの人々に笑顔を届けました。彼の残した功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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