ひうち型多用途支援艦

ひうち型多用途支援艦

ひうち型多用途支援艦（Hiuchi-class auxiliary multi-purpose support ship）は、海上自衛隊が運用している多用途支援艦の艦級です。この艦は、様々な支援任務を行うために設計されており、その計画番号はJ-147です。

艦の概要

ひうち型多用途支援艦は、艦の任務として、射撃訓練や発射訓練の支援に加え、自走不能になった艦艇の曳航、消火活動、救難作業、物資輸送、離島への災害派遣、ならびに新装備の洋上試験など、多岐にわたる目的で活用されます。これは、かつての81号型特務艇の後継として建造された艦船です。1番艦となる「ひうち」は、平成11年度計画に基づき2001年に建造が始まり、2002年には就役を果たしました。

艦名は、各艦が日本の灘の名前から名付けられており、「燧灘」、「周防[[灘]]」、「天草灘」、「玄界灘」、「遠州灘」となっています。

構造と特徴

この艦は、海上採油基地のサプライ・ボートに基づいた設計で、後部には広い作業甲板兼貨物甲板が設けられています。船体は後部甲板が一段低くなっており、大型の自走式水上標的（通称バラクーダ）や曳航式水上標的を搭載して作業を行うことができます。また、各種物資もこの甲板に積載可能です。自走不能な艦艇を曳航する任務を考慮し、5,000馬力の機関出力を実現しており、ましゅう型補給艦やひゅうが型護衛艦単独での曳航も可能です。

艦の中央には大型の煙突が設置されており、艦橋とは独立した形状をしています。特に、艦橋の前面には通路が設けられ、甲板での作業を直接監視しながら指揮ができる点が特徴的です。艦橋の天蓋上には放水銃が装備されており、外海での火災や油流出事故にも迅速に対応できます。

多用途性と災害派遣

ひうち型艦は小型ながらも、狭小な港にも入港できる能力を持っています。バウスラスターを搭載しているため、タグボートの支援がなくても自力でスムーズな離離着岸が可能です。加えて、大きな搭載力を有し、大型クレーンによってコンテナやトラック規模の車両を自主的に積載、輸送、陸揚げすることができるため、災害派遣においても非常に効果的な自衛艦となっています。

当初は3番艦の「あまくさ」まで武装は装備されておらず、艦橋上に放水銃だけが設置されていました。しかし、4番艦「げんかい」と5番艦「えんしゅう」では、警備上の理由から12.7mm機関銃用の銃架が追加されました。これに伴い、1番艦から3番艦も順次改装されていくことになりましたが、海上自衛隊の見解として、12.7mm機関銃は武装ではなく搭載火器と位置付けられています。

さらに、「げんかい」と「えんしゅう」には潜水艦訓練支援用に水中通話機が装備されており、また外海での活動を考慮した減揺タンクも搭載されています。これにより、従来の艦艇と比較して一定の改良が加えられています。

機関の仕様

「ひうち」、「げんかい」、「えんしゅう」では、新潟原動機の6MG28HXディーゼルエンジンを採用し、「すおう」と「あまくさ」にはダイハツの6DKM28ディーゼルエンジンが搭載されています。

2020年以降、艦艇のロービジ塗装への変更が進められています。特に、煙突頂部の黒帯が廃止され、艦番号や艦名の灰色化が行われるなど、視認性を低くする方向にシフトしています。

まとめ

ひうち型多用途支援艦は、その多機能性と強力な支援能力から、海上自衛隊において重要な役割を果たしています。様々な任務に対応するために、進化し続ける艦船として、今後もその活躍が期待されています。

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