周防灘の概要
周防
灘(すおうなだ)は、
瀬戸内海の北西端に位置する海域で、旧豊前国の一部として知られています。地域によっては豊前海と呼ばれることもあり、周防大島や
関門海峡などに囲まれたこの海域は、地理的にも重要な役割を果たしています。
地理と気候
周防
灘は北側を
山口県南岸に、東側を室津半島南端から屋代島(周防大島)に、西側は
関門海峡によって境界が定められています。南側は
大分県の姫島と
山口県の祝島を結ぶ線が利き、
伊予[[灘]]に接しています。東部は深く、西へいくほど浅くなる特性があります。
周防
灘は、「多島美」が特徴の
瀬戸内海にあって、意外にも島が少ない地域です。防予諸島に見られる祝島や長島、姫島、
平郡島、屋代島などが
伊予[[灘]]や安芸
灘との境界を形成しています。気候は
瀬戸内海式で、晴天の日が多く、降水量は少ないのが特徴です。特に冬の北西の季節風は雲を広げ、雨や雪をもたらすことがありますが、波は穏やかで荒れることが少ないため、航行がしやすい海域です。
しかし、この地は航行上の重要な位置にあり、船舶の衝突などの
海難事故のリスクが高いことも指摘されています。
自然環境
周防
灘は、開発や汚染が進む他の海域に比べ、比較的良好な自然環境が残されています。特に
北九州市の曽根
干潟、
大分県中津市の中津
干潟、
宇佐市の和間海岸などの広大な
干潟は、生物多様性の宝庫として注目されています。ここには絶滅が危惧される
カブトガニや多くの
野鳥が生息しており、生態系の維持に寄与しています。また、日本各地で絶滅したとされるアオギスが周防
灘に残存していることも、特筆すべき点です。
周防
灘では、在来の真の
ハマグリの個体群も生き残っており、他の生物にとっても重要な生息地となっています。また、
漁業も盛んで、
カレイやブリ、アジ、
マダイなどの魚が多く獲れています。さらに、西部ではカキや
海苔の養殖も行われ、地域の経済に貢献しています。
天然記念物として知られるスナメリは、かつてよりも数は減少しているものの、周防
灘では比較的多く見かけられるとされています。周防
灘には、エンゲルベルト・ケンペルの記したように、かつての時代に多くの
クジラが
回遊していたとの記録もあり、地域文化に深く根付いています。ただし、最近では大型鯨類やイルカ類は非常に少なくなっています。
自然災害
周防
灘沿岸部は、特に強い
台風が通過する際に
高潮に見舞われることがあります。
1942年に発生した「周防
灘台風」は、その影響で大規模な
高潮被害が生じたことで有名です。また、周防
灘断層帯による
地震のリスクも高く、この地域では常に警戒が必要です。
工業と沿岸都市
周防
灘沿岸部は、太平洋ベルト地帯の一部であり、
山口県東部には
石油コンビナートが存在し、
瀬戸内工業地域の中核を成しています。北九州工業地帯も周辺にあり、
セメントや
化学工業、最近では自動車産業の集積も見られます。
主な沿岸都市
周防
灘に面する概観都市には、
山口県の
柳井市、
光市、
下松市、
周南市、
防府市、山口市、
宇部市、
山陽小野田市、
下関市などがあります。また、福岡県からは
北九州市の
門司区や
小倉南区、
行橋市、
豊前市、
大分県の中津市、
宇佐市、豊後高田市、姫島村、国東市も含まれます。
周防
灘は、自然環境の保護と産業発展という二つの課題に取り組む、バランスの取れた地域であり続けています。