ひのくに号

高速バス「ひのくに号」

「ひのくに号」は、福岡県福岡市と熊本県熊本市を結ぶ高速バスで、九州で最も長い歴史を持つ路線です。この路線は、1962年に国道3号線経由の特急バスとして誕生し、1973年の九州自動車道の一部開通に伴い高速バスとなりました。現在では、平日152本、土日祝日170本と高頻度で運行されており、早朝から深夜まで利用可能です。この記事では、「ひのくに号」の詳細な情報に加え、過去に運行していた「ASOエクスプレス号」や、PayPayドームでのイベント時に運行される「みずほPayPayドーム直行便」についても解説します。

概要

「ひのくに号」は、長年にわたり福岡市と熊本市を結ぶ主要な交通手段として利用されてきました。かつては1日に226本もの便が運行されていましたが、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅な減便を余儀なくされました。しかし、その後も利便性の高さから利用者は多く、現在では増便も行われています。この路線の特徴は、福岡と熊本の中心部を乗り換えなしで結ぶ点です。また、車内では電源やWi-Fiが利用できるため、移動時間を有効活用できます。

主要交通機関としての役割

熊本市と福岡市の間には、新幹線も運行されていますが、料金や利便性の面から「ひのくに号」を選ぶ人も少なくありません。特に、新幹線開通後には、料金を重視する利用者が高速バスに流れる傾向が見られ、「ひのくに号」は増便されています。ただし、福岡 - 熊本間の高速道路は交通量が多く、渋滞による遅延が発生しやすい点には注意が必要です。

「火の国」の愛称

愛称の「ひのくに」は、熊本県の別称である「火の国」に由来しています。

座席指定について

熊本発の早朝便と光の森発着便は座席指定制となっており、事前に予約が必要です。その他の便は全席自由席ですが、満席の場合は乗車できません。

かつての定数券

かつては乗車前に「定数券」が必要でしたが、2005年までに廃止されました。その後、予約定員制の便に限り、窓口で乗車券が発行されていましたが、2024年10月からは一部便で座席指定制が導入されています。

輸送人員

国土交通省の統計によると、福岡 - 熊本間の輸送人員は1日あたり約3,700～3,800人に達し、九州の高速バス路線の中でも高い輸送人員を誇ります。

運行会社

この路線は、以下の2社が共同で運行しています。

九州産交バス
西日本鉄道

沿革

「ひのくに号」の歴史は、1950年代の相互乗り入れ協定にまで遡ります。以下に主な沿革をまとめます。

1950年：西鉄と産交が相互乗り入れを開始。
1962年：ビジネス特急「ひのくに」号が運行開始。
1973年：九州自動車道開通に伴い、高速バスとして運行開始。
1980年代：増便や車両のグレードアップが実施。
1990年代：福岡都市高速への乗り入れや「デラックスひのくに号」が登場。
2000年代：運賃値下げやスーパーノンストップ便の導入。
2010年代：予約定員制や深夜便の運行、熊本地震の影響による運休などを経験。
2020年代：新型コロナウイルス感染症の影響による減便、光の森系統の新設など。

運行系統と停車停留所

「ひのくに号」には、以下の4つの系統があります。

スーパーノンストップ

福岡市内と熊本市内をノンストップで結ぶ基幹路線で、益城熊本空港ICを経由します。

植木IC経由

主要バス停に停車する路線で、熊本ICを経由します。

各停

福岡空港と熊本市内を結び、高速道路上の各バス停に停車します。

光の森直行便

福岡市内と熊本県菊陽町の光の森地区を結ぶ直行便です。

使用車両と車内設備

「ひのくに号」では、ハイデッカータイプの車両が使用されており、4列シート、トイレ、座席コンセント、毛布、フリーWi-Fiなどの設備が整っています。

かつては、「デラックスひのくに号」として様々なサービスが提供されていましたが、現在はコスト削減のため、基本的な設備のみとなっています。

ASOエクスプレス号

2019年 4月1日から2020年10月11日まで、福岡市と阿蘇市を結ぶ路線として運行されていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で運行を終了しました。

運行経路

西鉄天神高速バスターミナル、博多バスターミナル、福岡空港国際線ターミナルを経由し、高速基山、熊本ICを通って阿蘇方面へと向かいます。

停車停留所

アーデンホテル阿蘇、カドリー・ドミニオン前、阿蘇駅前、阿蘇プラザホテル、内牧温泉などに停車していました。

みずほPayPayドーム直行便

福岡PayPayドームでのイベント開催時に運行される臨時高速バスです。

運行情報

1日に1～2往復程度運行され、熊本県内の停車箇所は「ひのくに号」のスーパーノンストップ便と同様です。福岡側では博多・天神には立ち寄りません。

注意事項

この路線は臨時便であり、「ひのくに号」とは別系統です。「ひのくに号」の乗車券やSUNQパスは利用できません。