ひまわり (気象衛星)

気象衛星「ひまわり」の概要と歴史

日本が運用する気象衛星「ひまわり」は、天候の観測と画像の取得を担っている静止人工衛星です。最初の「ひまわり」は1977年に打ち上げられて以降、東アジアや西太平洋地域の気象データを広く収集・提供してきました。初代から7号までは愛称として「ひまわり」と呼ばれ、8号以降は正式名称として「ひまわり」に位置づけられています。1号から5号は静止気象衛星のGMS（Geostationary Meteorological Satellite）、6号と7号は運輸多目的衛星のMTSAT（Multi-functional Transport Satellite）として知られています。

「ひまわり」計画は、世界気象機関（WMO）と国際科学会議（ICSU）が共同で進めた地球大気開発計画（GARP）の一環として開始されました。この衛星が提供する気象画像は日本国内だけにとどまらず、撮影された地域に属する他国にも活用され、国際的な気象観測の基盤を支えています。

最新のひまわり9号は2022年12月13日から運用を開始し、ひまわり8号は同日より待機運用に入っています。

衛星の名称とその由来

「ひまわり」の名は、宇宙開発事業団（NASDA）初代理事長の島秀雄が花の名前を付けるという方針に従ったものです。植物のヒマワリは、太陽の動きに合わせて常に向きが変わる特性があり、これにちなんで「地球を同じ方向から見続ける」との意味が込められています。東京都清瀬市にある気象庁の気象衛星センター前の市道が「ひまわり通り」と名付けられているのも、この由来からです。

衛星シリーズの進化

ひまわりシリーズは、衛星本体と観測機器を搭載した構造で、技術と能力が進化してきました。ひまわり1号から5号は主にNECが製造したヒューズのスピン衛星バスを利用し、アメリカの静止気象衛星と類似の設計がなされていますが、技術の進展に伴い観測機器の多くは国産化されています。

観測機器としては、光学センサである可視赤外走査放射計（VISSR）が採用されており、地球の表面を可視光と赤外線で撮影します。この技術により、地球全体を画面に映し出すために2,500本の走査線が使用され、精度の高い気象データを取得しています。

MTSATシリーズと運用

GMSシリーズの後継機として登場した運輸多目的衛星（MTSAT）では、航空管制衛星との相乗りを行い、燃料の制約から「ひまわり5号」が長期間運用されることとなりました。しかし、技術的な制限や資金の問題から、後継機の運用が計画されました。MTSAT-1は打ち上げに失敗しましたが、MTSAT-1Rは成功裏に運用を開始し、この過程を通じてひまわりシリーズは生き延びました。

HIMAWARIシリーズの設計と運用

近年では、ひまわり8号と9号が運用されており、これらは特に地球観測機能を強化した「静止気象衛星」として位置付けられています。寿命は運用8年、待機7年の合計15年となり、データ容量も従来の50倍以上となりました。これにより、気象データの精度や観測の頻度が高まり、静止地球環境観測衛星としての役割も増しています。

まとめると、「ひまわり」は日本における気象衛星の象徴であり、気象観測の進化とともに国際的な貢献を果たしている重要な人工衛星であると言えます。

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