びっくり電話

びっくり電話 (How Dare You!)

1976年に発表された、イギリスのバンド10ccによる通算4作目のスタジオ・アルバムです。マーキュリー・レーベルからは2枚目のリリースとなりました。本作は商業的にも成功を収め、全英アルバムチャートでは最高位5位、全米でも46位を記録しました。アルバムに先駆けて発表されたシングルもヒットしており、1975年11月の「芸術こそ我が命」(Art for Art's Sake)は全英5位、全米83位、1976年3月の「アイム・マンディ」(I'm Mandy Fly Me)は全英6位、全米60位をそれぞれ獲得しています。

このアルバムは、エリック・スチュワート、グレアム・グールドマン、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレームという結成当初からの4人編成による10ccとしての最後の作品となりました。本作の発表後、1976年10月にケヴィン・ゴドレイとロル・クレームがバンドを離脱。彼らは翌1977年から「ゴドレイ&クレーム」として新たな活動を開始します。一方、エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンは10ccとして活動を続けることを選択し、次のアルバム『愛ゆえに』をリリースすることになります。

アルバムのタイトル「How Dare You!」は、メンバーのエリック・スチュワートのアイデアから生まれたものです。「なんてことを！」といった、相手の言動に対する驚きや非難を表す日常的な慣用句が由来となっています。アルバムのアートワークは、前作に続いてデザイン集団ヒプノシスが担当しました。特徴的なゲートフォールド・カバーの表と裏は、対角線で分割された4つの異なるシーンで構成され、それぞれに男女が登場しています。ヒプノシスのストーム・トーガソンによると、アルバム収録曲のいくつかに電話が重要な要素として登場することから、カバーデザインは古い映画に出てくるような電話シーンを模倣したそうです。それぞれのシーンに登場する人物たちは、アルバムの異なる楽曲の登場人物を表現しているとも考えられています。また、これら4つの画面すべてに同じカップルが写り込んでいるという仕掛けもあります。さらに、内ジャケットには、合計34人もの人々（カバーに登場する6人と10ccの4人を含む）が、パーティー会場でそれぞれ別の電話に夢中になって会話しているという、ある意味悪夢のような光景が描かれています。携帯電話が普及した現代ではありふれた光景にも見えますが、これは当時のヒプノシスの先見性を示すものと言えるでしょう。

収録曲

サイド1

1. ハウ・デア・ユー - "How Dare You" - 4:16
2. レイジイ・ウェイ - "Lazy Ways" - 4:17
3. 世界征服 - "I Wanna Rule the World" - 3:57
4. アイム・マンディ - "I'm Mandy Fly Me" - 5:22
5. 氷山 - "Iceberg" - 3:43

サイド2

6. 芸術こそ我が命 - "Art for Art's Sake" - 5:59
7. ロックン・ロール・ララバイ - "Rock 'n' Roll Lullaby" - 3:59
8. ヘッド・ルーム - "Head Room" - 4:21
9. 電話を切らないで - "Don't Hang Up" - 6:19

パーソネル

オリジナル・アルバムのライナーノーツに基づいたクレジットは以下の通りです。

10cc

エリック・スチュワート (Eric Stewart)：リード・ボーカル (2, 4, 6, 7)、バック・ボーカル (3, 4, 7-9)、リード・ギター (全曲)、ピアノ (4, 6, 7)、ベース (2, 6)、エレクトリックピアノ (4, 6, 7)、ペダル・スティール (7)、リーバイス・ジッパー (5)
ロル・クレーム (Lol Creme)：リード・ボーカル (3, 6, 8)、バック・ボーカル (2-7, 9)、モーグ・シンセサイザー (1, 2, 4, 6, 7, 9)、ピアノ (2, 3, 9)、リズム・ギター (1, 6-8)、リード・ギター (1, 4, 9)、マラカス (1, 6, 7, 9)、クラヴィネット (1, 2)、電子オルガン (3, 5)、ギズモ (5, 9)、エレクトリック・ピアノ (8, 9)、スレイベル (1)、タンバリン (2)、ヴィブラフォン (4)、リコーダー (6)、手拍子 (9)
グレアム・グールドマン (Graham Gouldman)：リード・ボーカル (5, 6)、バック・ボーカル (2-6, 8, 9)、ベース (1, 3-5, 7-9)、リズム・ギター (2, 5, 6)、タンバリン (2, 6)、ツィター (4)、カウベル (6)、グロッケンシュピール (7)、スライドギター (7)、手拍子 (9)、スパニッシュ・ギター (9)
ケヴィン・ゴドレイ (Kevin Godley)：リード・ボーカル (5, 7, 9)、バック・ボーカル (1以外全曲)、ドラム (1-4, 6-8)、コンガ (1, 5)、ティンパニ (3, 5)、カウベル (1)、ボンゴ (1)、トライアングル (2)、マラカス (3)、テンプル・ブロック (6)、タンバリン (8)、カスタネット (9)、カバサ (9)、手拍子 (9)、バス・ドラム (9)

アディショナル・ミュージシャン

* メア・ジョーンズ (Mair Jones) – ハープ (9)

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