ふじ1号

ふじ1号 (Fuji-OSCAR 12)

ふじ1号（Fuji-OSCAR 12、JAS-1/FO-12）は、1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げられた日本初のアマチュア衛星です。この衛星は、日本のアマチュア無線団体が関与して開発されました。打ち上げの際、正式な衛星は測地実験用衛星「あじさい」であり、ふじ1号はそのピギーバックとして存在していました。更に、別の小型衛星の「じんだい」も相乗りで打ち上げられました。

概要

ふじ1号の開発運用は、日本アマチュア無線連盟（JARL）が担っており、形状は40×40×47 cmの26面体です。この衛星は宇宙開発事業団（NASDA、現在の宇宙航空研究開発機構・JAXA）によって打ち上げられました。

打ち上げは、1986年8月13日5時45分（JST）に大崎射場で行われ、チリでの分離確認も同日6時47分に行われました。また、イギリス・サレー大学でも同日7時5分にテレメトリーを受信し、その後東京都豊島区のJARLの管制局でも受信確認ができました。JARLはこれを記念し、衛星に「ふじ」という名前を付けました。しかし、後のふじ2号と区別するため、1号と名付けられました。

通信機能

ふじ1号は、アマチュア衛星局としての運用も開始しました。呼び出し符号はアマチュア衛星局8J1JASとして付与され、アナログ中継器を利用した通信が可能でした。運用開始から多様な通信機能を持ち、音声と電信信号の中継、さらにデジタルパケット信号の中継も行っていました。具体的なミッション系諸元としては、アップリンクは145MHz帯、ダウンリンクは435MHz帯のJモードとなっていました。また、CWビーコンおよびSSB周波数は435.795MHzで、最大送信電力は1Wでした。

デジタル系中継器を利用した通信も行われ、アップリンクの周波数が145.85MHzから145.91MHzの範囲で、ダウンリンクは435.91MHzで動作しました。データ通信速度は1,200bpsの仕様となっていました。

運用の終了

ふじ1号の運用は1999年まで続きましたが、1989年11月5日に電池の劣化により運用が停止しました。この衛星が提供したサービスは、アマチュア無線愛好者にとって貴重なものであり、今でも日本の宇宙開発史における重要な一章として記憶されています。

続く展望

ふじ1号の成功は、その後のふじ2号やふじ3号といった人工衛星の開発へとつながり、アマチュア無線の技術の向上にも寄与しました。日本におけるアマチュア衛星の意義は、これからも無線通信や宇宙開発の分野で重要な役割を果たし続けるでしょう。

もう一度検索