ふるさとは宗谷の果てに

ふるさとは宗谷の果てに

「ふるさとは宗谷の果てに」（ふるさとはそうやのはてに）は、作曲家である北原じゅん氏が作詞・作曲を手がけた歌謡曲です。特に、1966年に歌手の西郷輝彦氏が自身のシングルのカップリング曲として取り上げたことで、広く世間に認知されるようになりました。

この楽曲の原点は、北原じゅん氏が自身の実弟である菊地正夫氏（後に城卓矢として知られる）のために書き下ろした作品です。兄弟の故郷である樺太（現在のロシア領サハリン）への深い想いが込められており、歌詞には日本の最北端である北海道稚内市の宗谷岬が登場します。宗谷岬のその先に広がる海を越えた故郷への郷愁が、切々と歌われています。

楽曲はまず、1962年（昭和37年）に菊地正夫氏のシングルとして、テイチクレコード（現：テイチクエンタテインメント）から発表されました。この時のシングルは、北原じゅん氏が作詞・作曲・編曲を担当した「ふるさとは宗谷の果てに」をA面に、同じく北原氏による「哀愁の一つ星」をB面に収録していました。しかし、この最初のリリースは、当時の音楽市場において商業的に大きな成功を収めるには至りませんでした。

転機が訪れたのは、1966年（昭和41年）のことです。クラウンレコード専属の人気歌手であった西郷輝彦氏が、新たなシングルをリリースする際に、この楽曲をカバーすることになりました。このシングルのA面曲である「涙になりたい」は、平凡出版（現：マガジンハウス）が発行する雑誌『月刊平凡』誌上で「西郷輝彦の唄う歌」として歌詞が一般公募され、当選した杉本好美氏の詞に北原じゅん氏が曲をつけた作品です。同年2月1日にシングルとして発売された「涙になりたい」は、日活により同名の映画としても製作され、西郷氏主演で同年5月18日に公開されるなど、大きなプロモーション展開が行われました。

この「涙になりたい」シングルのB面、つまりカップリング曲として収録されたのが、北原じゅん氏が自身の弟に提供した「ふるさとは宗谷の果てに」のカバーバージョンでした。西郷氏の歌唱によるこのバージョンが大きな話題を呼び、原曲発表から数年を経て、「ふるさとは宗谷の果てに」という楽曲そのものが広く知られる存在となったのです。

その後も、この楽曲は様々な歌手によってカバーされています。1971年（昭和46年）には、北海道出身の歌手である大友和也氏がユニオンレコード（テイチクのレーベル）からシングルとしてカバーバージョンを発表しました。この大友氏版では、編曲を池田孝氏が担当し、B面には平田満氏らが手がけた「すすきの夜のブルース」が収録されています。他にも、真芽正恵氏、黒沢明とロス・プリモス、千昌夫氏などがこの楽曲をカバーし、歌い継がれています。

以下に、主要なバージョンのシングル収録曲情報をまとめます。

主要バージョン収録情報

菊地正夫版 (1962年)

• - レーベル: テイチクレコード (NS-596)
• - A面: ふるさとは宗谷の果てに (作詞・作曲・編曲: 北原じゅん)

- 演奏時間: 3分14秒
- 出版権: クラウンミュージック

• - B面: 哀愁の一つ星 (作詞・作曲・編曲: 北原じゅん)

- 演奏時間: 不明
- 出版権: クラウンミュージック

西郷輝彦版 (1966年)

• - レーベル: クラウンレコード (CW-430)
• - A面: 涙になりたい (作詞: 杉本好美 / 作曲・編曲: 北原じゅん)

- 演奏時間: 3分53秒
- 出版権: クラウンミュージック、マガジンハウス
- 特記事項: 『平凡』募集当選作、日活映画『涙になりたい』主題歌

• - B面: ふるさとは宗谷の果てに (作詞・作曲・編曲: 北原じゅん)

- 演奏時間: 3分1秒
- 出版権: クラウンミュージック

大友和也版 (1971年)

• - レーベル: ユニオンレコード (テイチク) (US-708)
• - A面: ふるさとは宗谷の果てに (作詞・作曲: 北原じゅん / 編曲: 池田孝)

- 演奏時間: 3分25秒
- 出版権: クラウンミュージック

• - B面: すすきの夜のブルース (作詞: 平田満 / 補詞: 高月ことば / 作曲: 平田満 / 補曲: 野崎眞一 / 編曲: 池田孝)

- 演奏時間: 4分1秒
- 出版権: 不明

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