ぶらり信兵衛 道場破り

ぶらり信兵衛 －道場破り－

『ぶらり信兵衛 －道場破り－』は、フジテレビ系列で1973年から1974年の間に放送された時代劇であり、全50話から成ります。主人公は松村信兵衛という名の浪人で、彼は長屋「十六店」に住み着くことになります。信兵衛の素性は謎に包まれており、仕官を望むこともなく、侍社会に失望して出奔したようです。彼は信義に厚いですが、あまりにも優しすぎる性格が仇となり、周囲からは頼りなく思われがちです。

信兵衛は実は神道無念流の剣術の達人であり、長屋の仲間たちが金に困ると、秘密裏に「取手呉兵衛」という名前で道場破りに挑むことで人助けをします。この一話完結型の物語では、彼のかかわるさまざまな人情劇が描かれています。作品の特徴としては、道場破りのシーンに独特の音声効果が用いられており、視聴者の記憶に残る印象を与えていました。

また、信兵衛に対して思いを寄せるおぶんという女性がいます。彼女は妄想癖を持っており、信兵衛が有名な歴史上の人物に扮している夢想シーンも描かれます。興味深い点は、時代劇にも関わらずほとんど人が斬られず、従来の形式とは一線を画する独自の演出がなされているところです。

この作品は始めは半年の放送予定でしたが、予想以上の人気を博し、その結果1年間にわたって放送されることとなりました。そのため、出演者のスケジュールが調整できず、途中から重要キャストが交代する事態が発生しました。

最終話では、長屋の住人たちが赤穂義士の吉良邸討入りに遭遇し、意外な人物を見つけるという展開が待ち受けています。実は松村信兵衛こそが、世を忍ぶ仮の姿であったのです。

キャスト

• - 松村信兵衛 - 高橋英樹: 困った人をほおっておけない優しい男。金銭に執着せず、剣術の達人である。
• - こふね - 浜木綿子: 長屋の住人で信兵衛に恋する芸者。
• - おぶん - 武原英子（第1 - 26話）、葉山葉子（第27話 - 最終話）: 重助の孫娘で、信兵衛を慕う妄想癖のある女性。
• - 重助 - 大宮敏充（第1 - 21話）、藤原釜足（第27話 - 最終話）: おぶんの祖父、夜鳴きそば屋の店主。
• - おきみ - 紅景子: まる源の従業員、小舟の妹。

スタッフ

• - 原作: 山本周五郎『人情裏長屋』
• - 脚本: 倉本聰など数名が参加
• - 音楽: 渡辺岳夫が手掛けた
• - プロデューサー: フジテレビと東映の共同制作

放送情報

放送開始から50話までの人気を背景に制作されたこのドラマは、2022年からYouTubeでの配信も開始され、再び話題を呼んでいます。また、放送から22年後には同じ俳優を主演に据えた『お助け信兵衛 人情子守唄』が制作されるなど、信兵衛のキャラクターは時代を超えて親しまれています。個性的なキャラクターと人情溢れるストーリーが融合した『ぶらり信兵衛 －道場破り－』は、今なお多くの人々に愛される作品です。

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