紅景子

紅景子：舞台とテレビドラマを彩った女優の軌跡

紅景子（くれない けいこ）は、1949年10月27日生まれの日本の元女優です。本名は松山貴美子。大阪府出身ですが、京都府で生まれました。明浄学院高等学校を中退しています。

淡島千景への憧れと女優への道

紅景子の女優人生は、NHK大河ドラマ『花の生涯』で淡島千景の演技を見た中学時代に始まりました。その圧倒的な演技力に心を奪われた紅景子は、高校を2年で中退し、淡島千景の内弟子になることを決意します。師事への強い意志から、淡島邸に手紙を送りますが返事はありませんでした。それでも諦めず、アルバイトで貯めたお金を握りしめ、直接淡島邸を訪ねます。最初は門前払いされたものの、粘り強く訴え続け、最終的に淡島の付き人の尽力もあり、内弟子として受け入れられました。そして、芸名「紅景子」は淡島千景によって名付けられたものです。

舞台からテレビドラマへ、そして多様な役柄

1968年、大阪新歌舞伎座での舞台『朝の雪』で女優デビューを果たします。その後も舞台を中心に活躍を続け、1971年にはテレビドラマ『おらんだ左近事件帖』（フジテレビ）でテレビドラマ初レギュラー出演を果たしました。時代劇を中心に活躍し、『黒帯風雲録 柔』（日本テレビ）、『赤ひげ』（NHK）などに出演。当時、スタジオドラマへの出演は初めてだったと語り、緊張しながらも徐々に慣れていった様子をインタビューで明かしています。また、東映制作の特撮テレビドラマ『ロボット刑事』（フジテレビ）にもレギュラー出演するなど、幅広いジャンルで活躍しました。1975年には芸術座の舞台『たぬき』で山田五十鈴と共演するなど、ベテラン女優との共演も経験しています。

結婚と引退、そして新たな活動

1976年、舞台『花は花よめ』で共演した俳優の松山政路と出会い、1977年11月に結婚。結婚を機に芸能界を引退しました。女優の松山愛佳を次女に持つ紅景子ですが、自身の闘病経験を活かし、現在も全国各地で講演活動を行っています。

代表的な出演作品

紅景子は、数多くのテレビドラマや舞台に出演し、多彩な役柄を演じきりました。主な出演作品には、以下のものがあります。

テレビドラマ

『おらんだ左近事件帖』（1971年 - 1972年、フジテレビ） - お春
『黒帯風雲録 柔』（1972年、日本テレビ） - 妙
『赤ひげ』（1972年、NHK） - お雪
『ロボット刑事』（1973年、フジテレビ） - 芝奈美
『明日殺られる』（1973年、MBS）
『白い影』（1973年、TBS） - 川合友子
『太陽にほえろ!』（1973年、日本テレビ） - 関口京子
『ぶらり信兵衛 道場破り』（1973年 - 1974年、フジテレビ） - おきみ
『江戸を斬る 梓右近隠密帳』（1974年、TBS） - おしの
『京で上りの夢の旅』（1974年、NHK）
『くるくるくるり』（1974年、日本テレビ） - 三木鈴子
『ご存じ金さん捕物帳』（1974年 - 1975年、NET） - おみち
『編笠十兵衛』（1974年 - 1975年、フジテレビ） - おたま
『影同心』（1975年、MBS / 東映） - おあき、おすみ
『非情のライセンス』（1975年、NET）
『あなただけ今晩は』（1975年、フジテレビ）
『十手無用 九丁堀事件帖』（1975年、日本テレビ）
『破れ傘刀舟悪人狩り』（1976年、NET） - 野村美和
『桃太郎侍』（1977年、日本テレビ） - おふじ
『遠山の金さん』（1977年、NET） - お波
『同心部屋御用帳 江戸の旋風III』（1977年、フジテレビ）
『水戸黄門』（1977年、TBS） - お初
『伝七捕物帳』（1977年、日本テレビ） - お安

舞台

『朝の雪』（1968年、大阪新歌舞伎座）
『たぬき』（1975年、芸術座）
『寺田屋お登勢』
* 『花は花よめ』（1976年、明治座）

紅景子の女優人生は、淡島千景への憧憬から始まり、数々の名作ドラマや舞台への出演を経て、華々しく幕を閉じました。しかし、彼女の人生は、女優としての活動だけに留まりません。現在も続く講演活動は、第二の人生における新たな挑戦であり、多くの人々に勇気を与え続けています。

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