ほんの5g

映画『ほんの5g』について

1988年11月26日に公開された『ほんの5g』は、太田圭監督による日本の青春映画です。この作品は、芸能事務所アミューズが10周年を記念して製作した「アミューズ10ムービーズ」の一環として制作されました。主演は当時アミューズに所属していた富田靖子で、彼女の相手役として、オーディションで選ばれた福山雅治が映画デビューを飾っています。キャッチコピーは「きみの四角い心が玉にキズ。」で、タイトルにある「5g」とは、パチンコ玉1個の重さを指しています。

制作の背景

この映画は、アミューズに所属するタレントを起用し、若手クリエイターを積極的に登用した作品です。福山雅治は当時歌手デビュー前で、この作品が俳優としての第一歩となりました。また、布川敏和など、他の個性的な俳優陣も出演しています。漫画家のいしかわじゅんや指圧師の浪越徳治郎といった異色のキャストも脇役で出演しており、いしかわじゅんは当時のエッセイ風マンガで撮影状況をコミカルに描いています。

ストーリー

物語は、島根県出身の短大生である寿明日香（富田靖子）が主人公です。明日香は就職活動に明け暮れる日々を送っていますが、届くのは不採用通知ばかり。実家からの見合い写真や幼なじみの三蔵（福山雅治）との関係にも嫌気がさしていました。そんなある日、気分転換にパチンコ店に足を踏み入れた明日香は、初めてのパチンコで大当たりを経験します。この出来事をきっかけに、彼女の単調な日常に変化が現れ始めます。パチンコという非日常的な体験を通して、主人公の心情の変化や成長を描いています。

ロケ地

パチンコ店のロケは、武蔵小山駅前にあった「パチンコ26号線」で行われました。現在は閉店していますが、当時としては珍しいリアルなパチンコ店での撮影が、作品に臨場感を与えています。

キャスト

寿明日香：富田靖子
橋本三蔵：福山雅治
中河原薫：布川敏和
大塚：岸部シロー
村雨：浪越徳治郎
ユリ：麻木久仁子
和津子：芦田けい
オズ：マサイド・ミア
山下：酒井敏也
カウンターの娘：吉村真理子
カウンターの娘：山下祐美
いち子：前川麻子
スーツの男：いしかわじゅん
宮島先輩：勝村政信
松田光子：清水ひとみ
配達人：尾美としのり
田野倉：大地康雄
柳さん：藤田弓子
小林：三木のり平

スタッフ

監督：太田圭
プロデューサー：中沢敏明、桜井妙子
脚本：一色伸幸、丸内敏治
撮影：上田正治（J.S.C）
音楽：田中公平
美術：種田陽平
照明：小中健二郎
録音：佐藤富士男
編集：川島章正

音楽

挿入歌には竹内まりやの「不思議なピーチパイ」が、エンディングテーマにはフェビアンの「冒険クラブ」が使用されています。

製作

製作は松竹とSEDICが担当し、アミューズ10ムービーズ（ACC）が製作協力として参加しました。

総括

『ほんの5g』は、単なる青春映画にとどまらず、当時の若者のリアルな姿を描いた作品として評価されています。特に、福山雅治の初々しい演技は必見です。パチンコという日常的な娯楽をモチーフに、人生の転換期における心の機微を捉えた作品として、今もなお多くの人々に愛されています。

もう一度検索