みちのくひとり旅

「みちのくひとり旅」

山本譲二のシングル「みちのくひとり旅」は、1980年の8月5日にリリースされ、以降彼の最大のヒット曲として広く知られています。この曲は、彼の師匠である北島三郎からの紹介で音楽ディレクターの馬渕玄三と作曲者の三島大輔と出会ったことから始まりました。

初めてこの曲を聴いた際、山本はその魅力に惹かれ、自ら土下座してお願いした結果、ついにレコーディングが行われましたが、リリース直後は大きな話題にはなりませんでした。しかし、その後徐々に関西の有線放送で注目を集め、1981年6月29日に放送されたフジテレビの『夜のヒットスタジオ』で披露されると、一気に人気が高まりました。

1981年5月4日付のオリコンチャートに96位で初登場し、その後8月31日付で8位、以降22週にわたりベスト10入りを果たしました。このヒットにより、同年の『第32回NHK紅白歌合戦』にも初出場することが決まりました。

「みちのくひとり旅」は、TBS系の『ザ・ベストテン』でも高評価を受け、1981年10月8日の放送では最高で3位にランクイン。この番組には通算24週間も10位以内に入るという特異な記録を持っています。また、1981年年末の年間ランキングでは第2位に輝き、その後の2000年代においてもNTT東日本のCMに使用されるなど、長い間愛され続けています。

楽曲形式は、一般的なポピュラーソングとは異なり、特異な構成を持っています。具体的には、[A A' B C]のパターンが2回または3回繰り返され、最後に[D D']のサビが現れるというスタイルです。サビが16小節という長さなのも特筆すべき点であり、歌詞の内容は男性の切ない思いを描写しています。歌のリリースの際には、当初予定されていたタイトルが「最後の女」であったことからも、歌のテーマが際立ちます。

本楽曲には、「松島（宮城県）」や「白河（福島県）」といった二つの地名が登場しますが、実際には「みちのく」を想起させる描写が少ないため、ご当地ソングの枠を超えた意味合いを持っています。また、同曲の次にリリースされた「旅の終りはお前」というシングルも、「みちのくひとり旅」のメロディーを多く踏襲しています。

この歌詞を手がけた市場馨は、実際には丹古晴己とその弟子の共同筆名とも言われています。リリースから数十年経った今でも、山本はこの曲を「人生に結びついている宝物」と語り、歌手としての彼の存在意義を象徴する楽曲として大切にしています。

また、B面の「チェランサスの夢」は、作詞・作曲を中山大三郎が担当しており、タンゴ調の心地良いムード歌謡に仕上がっています。このように、「みちのくひとり旅」は山本譲二の音楽キャリアにおいて不可欠な作品であり、多くの人々に愛され続けている名曲となっています。

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