みりい丸

みりい丸（みりいまる）

概要

みりい丸は、三菱汽船が所有し、運航したタンカーであり、1TL型タンカーの4番船です。この船は、第一次戦時標準船の一部で、川崎造船所による「川崎型油槽船」を基にして建造されました。主な特徴として、ディーゼル機関からタービン機関に変更され、最大速度は当時のタンカーの中で最速の約19ノットを誇りました。この船名は、日本の石油積み出し港の一つ「ミリ」に由来し、同様に三菱汽船の他の戦時標準船も石油に関連した地名が冠されていました。

竣工して間もなく、1943年の9月に、みりい丸はヒ09船団に参加し、シンガポールへ向かいました。積載していた石油類は13,305トンで、9月27日にはヒ10船団に加わり、サンジャックを経由して10月9日に門司に到着しました。その後、東亜燃料にて石油を全て陸揚げし、11月には再びサ17船団として昭南へ向かいました。

1944年3月にはヒ53船団で高雄経由で昭南へ向かい、石油類13,954トンを積んでの航行でした。その後もみりい丸は複数の船団に参加し、全体として物資輸送活動に従事しました。

したがって、1944年の5月9日、みりい丸は日本海軍に特設運送船（給油）として入籍されました。6月10日には徴傭され、艤装工事が日立造船因島造船所で行われました。魚雷艇やトラクター、大発動艇、弾薬を搭載して6月20日には門司を出港。しかし、6月29日にアメリカ潜水艦「バング」の攻撃を受け、船体に損傷を負いながらも6月30日にマニラに到着しました。

マニラでは応急修理を行ってから、再び船団に加わり、8月には門司に戻りました。そこで三菱重工業長崎造船所で本格的な修理を行い、その後も再び戦局に参加しました。11月には数回の攻撃を受けましたが、特設運送船としての役割を果たし続けました。

1945年1月、みりい丸は香港近海で磁気機雷に触れて故障し、仮修理後に馬公に到着しました。しかし、1月13日の陸揚げ作業中に空襲に遭い、さらに火災が発生しました。すぐに艦内の安全が確保され、乗員は退艦しましたが、この戦闘の結果、10名の乗員が戦死しました。

戦後の経緯

太平洋戦争終結後の1946年に、みりい丸は除籍され、同年8月に解傭されました。竣工から499日目の損失という短い歴史ながら、1TL型タンカーでは戦後の活動を含む船のなかで最も長命を誇った船でもありました。

姉妹船

あまつ丸（石原汽船）
旭栄丸（日東汽船）
南邦丸（飯野海運）
興川丸（川崎汽船）
一心丸（日本油槽船）
大峯山丸（三井船舶）
清洋丸（国洋汽船）
旭邦丸（飯野海運）
二洋丸（浅野物産）
良栄丸（日東汽船）
日邦丸（飯野海運）
あづさ丸（石原汽船）
東亜丸（飯野海運/内外海運）（南号作戦成功）
八紘丸（日本油槽船）
第二八紘丸（日本油槽船）
たかね丸（石原汽船）
橋立丸（日本水産/飯野海運）
しまね丸（石原汽船・特TL型）
多度津丸（日本郵船/日本水産）（戦後竣工）
大瀧山丸（三井船舶）（特TL型・未成）
大橘丸（大阪商船）（戦後大洋漁業が購入し第二天洋丸として竣工）
大邱丸（日本郵船）（特TL型・未成/戦後飯野海運が購入し隆邦丸として竣工）
* 大社丸（特TL型・未起工）

このように、みりい丸はその短い生涯の中でさまざまな運命をたどり、太平洋戦争という激動の時代において重要な役割を果たした船の一つです。

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