大発動艇

大発動艇（だいはつどうてい）

大発動艇は、大日本帝国[[陸軍]]が1920年代から1930年代にかけて開発した上陸用舟艇で、通称「大発」と呼ばれています。また、海軍でも同型の舟艇が運用され、「十四米特型運貨船」という名称が用いられていました。

背景と開発の経緯

第一次世界大戦以前の上陸作戦では、カッターボートや艀などが使われていましたが、これらは機動性や防御力が不足していました。特にガリポリ上陸作戦では、この問題が顕在化し、イギリス軍が近代的な上陸用舟艇であるXライターを開発しました。この艇は装甲を持ち、揚陸作業を効率的に行える設計でした。この成功を受けて、多くの国が上陸用舟艇の重要性を認識しました。

1920年代の日本は、特に上陸戦に対する関心が強く、在フィリピンのアメリカ軍を仮想敵として、帝国陸軍は上陸用舟艇の開発に注力しました。当初は従来の艀を機走化する試みがなされましたが、演習の結果は期待されたほどのものではなく、新たに小型の小発動艇と大きな汎用の大発動艇の開発に移行しました。

大発の設計と特性

1924年に発表された訓令に基づき、大発には以下の性能が求められました：

• - 約60名の武装兵士の搭載可能
• - 重量は約6トン
• - 速力は8ノット以上

これを受けて、陸軍運輸部は小発を大型化したA型を開発、その後改良版のB型、C型、D型が登場しました。特にD型は八九式中戦車を搭載できるよう設計され、実用的な完成形として広く採用されました。

この大発は地面に対して二段階に倒れる艇首を持ち、揚陸作業の効率が大いに向上しました。日本軍はこの技術を重要視し、軍事機密として管理しました。

実戦での運用

大発は各種の演習や実戦でその能力を示しました。1932年の第一次上海事変では、大発を用いて上陸作戦を成功させ、日中戦争や太平洋戦争においても数多くの作戦で大発は活躍しました。また、物資や人員の輸送任務にも使用され、その汎用性の高さから多くの任務に対応しました。

特に南方作戦においては、上陸部隊の輸送を行い、日本軍の勢力圏拡大に寄与しました。大発は戦術的な形で島嶼への進出を可能にし、特にガダルカナル島やフィリピン防衛戦においては、迅速な兵力移動が実現されました。

派生型とその他の技術

大発には多くの派生型が存在し、特に特大発動艇や超大発動艇などが開発されました。これらはより大型の戦車を搭載可能とするために設計されました。また、戦局によっては臨時に武装を施された大発も運用されました。

特に日中戦争や太平洋戦争においては、火力を強化した武装大発が使用され、上陸部隊の支援に寄与しました。しかし、これらの武装の多くは対舟艇に対しては自衛程度であり、他の軍艦に対しては苦戦することが多かったです。

まとめ

大発動艇は、その革新的なデザインと機能によって帝国陸軍の上陸作戦に重要な役割を果たしました。戦後も一部が民間で使用されるなど、その影響は長く続いています。日本の近代戦において、上陸用舟艇の価値を証明した大発は、今なお多くの兵器にその影響を与えています。

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