むつ小川原開発計画

むつ小川原開発計画

むつ小川原開発計画は、1960年代末に始まり、青森県上北郡六ヶ所村周辺を中心とする大規模な工業地帯を構築することを目的としていました。当初の目標は石油化学コンビナートや製鉄所の構築でしたが、プロジェクトは多くの課題に直面し、最終的には原子力関連の施設が進出する展開となりました。

開発計画の背景

プロジェクトの起源は、1968年12月23日、当時の通商産業省が発表した構想にあります。日本の重厚長大型産業が太平洋ベルト地帯に集中していたため、これを過疎地に分散させることが求められていました。この流れを受けて、六ヶ所村を含む下北半島での工業地帯開発計画が正式に提案され、1969年5月には新全国総合開発計画として閣議決定されました。

当初は、陸奥湾と小川原湖を工業用水源として活用することが計画されていましたが、漁業者からの反対運動や小川原湖の塩分問題により、開発対象から除外されることになりました。その後、対象区域は次第に縮小されていきました。1971年に策定された開発区域は、最初の1万7千ヘクタールから、最終的には六ヶ所村中心の5千500ヘクタールへと面積が修正されました。

土地取得と反対運動

三井不動産系列の内外不動産は、1968年から積極的に開発地域の土地を取得し、1972年には約5000ヘクタールもの土地を買い占めました。この土地は、農家から大規模牧場開発の名目で買い付けられましたが、農地法違反での行政指導も受けることとなりました。地元住民の間でも意見が対立し、村長の寺下力三郎は開発計画に反対を表明しました。1973年には、反対派と賛成派の間でリコール合戦が発生し、住民投票を経ても双方の解職請求は不成立となるなど、地域は分断されました。

原子力に関する動き

開発計画の転機となったのは、1984年に核燃料サイクル施設やウラン濃縮施設の建設を求める要請が行われたことです。これにより、反核団体との対立が深まりましたが、最終的には原子力関連施設の受け入れへと進んでいきます。日本原燃のウラン濃縮工場や低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターといった施設が相次いで建設され、地域における原子力関連事業が進展しました。

経済的影響とその後

むつ小川原開発計画が進められる中、進出を目指した企業の雇用創出はほとんど実現せず、地元農業や漁業への影響も深刻でした。特に、1960年代の冷害や国策の失敗が農業政策に悪影響を及ぼし、地域経済は困難な状況に直面しました。また、開発による土地取得と開発推進企業の財務状況も厳しく、1999年にはむつ小川原開発株式会社が巨額の債務超過に陥るなど、経済的な負担も増加しました。

まとめ

むつ小川原開発計画は、青森県の地域振興を目指した試みの一つでしたが、様々な社会的、経済的要因により当初の目標を達成することはできませんでした。結果的に、原子力関連施設が主要な施設として進出し、開発計画は変遷を遂げました。開発計画の影響は今なお地域に続いているため、今後の地域の振興策や経済活動への影響を考える上で重要な事例となっています。

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