やぎ座

やぎ座（Capricornus）について

やぎ座は、現代の88星座の一つであり、古代からの伝説を色濃く残す星座です。名前の由来は、バビロニアの伝説にある「ヤギ魚」であり、上半身がヤギ、下半身が魚という姿を持つ想像上の生物がモチーフとなっています。この星座の位置は黄道の中でも狭い部類に入り、おとめ座のおよそ3分の1の面積しかありません。

主な恒星

やぎ座には、国際天文学連合（IAU）によって認証された5つの恒星が存在します。これらの恒星は、肉眼でも見えるものばかりです。主な恒星には以下のものがあります。

• - α星（アルゲディ）：太陽系から約109光年離れた黄色巨星で、明るさは3.58等です。隣に見えるα1星とは見かけ上で近い位置にありますが、物理的な関係はありません。
• - β星（ダビー）：約388光年離れたA星と330光年のB星からなる二重星です。A星は3.08等の明るさを持ち、B星は6.10等の暗さです。この星系は分光的に似た動きを示し、物理的なつながりがあると考えられています。
• - γ星（ナシラ）：171光年の距離にあり、明るさは3.67等です。特異な化学特性を持つ化学特異星として分類されています。
• - δ星（デネブ・アルゲディ）：やぎ座の中で最も明るい約38光年の恒星で、明るさは2.83等です。食連星として、周期的に明るさを変化させます。
• - ν星（アルシャト）：約268光年の距離にあり、明るさは4.76等の準巨星です。

この他にも、やぎ座には多くの興味深い天体が存在しますが、特に球状星団のM30も注目されています。1764年に発見されたこの古い星団は、約130億年前に形成されたとされ、核心部に質量が集中している「コア崩壊」を経ているという特徴があります。

流星群

やぎ座に関連する流星群としては、やぎ座α流星群と10月やぎ座流星群の2つがあります。やぎ座α流星群は毎年7月31日ころに極大を迎え、極大時の天頂出現数は4と少なめですが、同時期に他の流星群と比較されることが多いです。10月やぎ座流星群は10月3日に極大を迎えます。

歴史・由来

やぎ座の起源は古代バビロニアの神話にまで遡ります。最初はヤギと魚が別々に描かれていましたが、紀元前3千年紀の半ばから後半にかけて、これらが融合して「ヤギ魚」の姿に変わりました。この形象は、マケドニアの詩人アラートスの詩にも見ることができます。この星座は古代ギリシャでも「ヤギの角」を意味する言葉で知られ、ローマ時代でも同様の名称で呼ばれていました。

また、やぎ座は南回帰線に関連し、これが英語で「Tropic of Capricorn」と呼ばれる理由でもあります。しかし、現代では冬至点が他の星座に移動しています。

神話

やぎ座には、ゼウスとアイギパーンにまつわる物語があります。アイギパーンは獣の下半身を持つ神で、ゼウスが育てられたことから賞賛されました。ゼウスとアイギパーンの伝説は、神々の戦いを背景にし、多くの神々が動物に変身する姿も描かれています。

呼称と方言

やぎ座の学術用語は「やぎ」で、ラテン語では「Capricornus」として知られています。明治時代から日本では「山羊」の呼称が使われており、現在でも一般的です。地方によっては、やぎ座の星を「ミョウトボシ」と呼ぶ風習も観察されています。

やぎ座は星座としてだけでなく、古代からの神話や文化にも根ざした存在であり、天文学の分野でも多くの興味を引き続けている星座です。

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