やぐら太鼓

映画『やぐら太鼓』の概要

1952年に公開された映画『やぐら太鼓』は、マキノ雅弘と滝沢英輔が共同で監督した日本の長篇劇映画です。本作は、劇作家・小説家の長谷川幸延が執筆した『室戸岬』を原作にしており、力士の夢と家族の絆がテーマとなっています。

製作背景

映画の監督であるマキノ雅弘にとって、『やぐら太鼓』は1950年の『殺陣師段平』以来、2年ぶりの幸延作品となります。この作品では、実際の力士や親方たちが本人役で出演し、リアリティを持たせています。特に二本柳寛が元力士である鹿造を演じることで、物語に深みを加えています。

ストーリーの要約

物語は、田舎の運送会社で働く鹿造を中心に進みます。かつては室戸崎として知られる力士だった鹿造は、妻のおさとと一緒に家庭を支えています。鹿造には息子の太郎がいて、彼は相撲を愛し、逞しい体格に成長しています。父である鹿造は、息子が同年代の子供たちよりも強く育つことを楽しみにしています。

そんな中、鹿造の職場の事務員である道子が恋人の横田に悩んでいる場面があります。横田は強いが少し粗暴な性格で、道子は彼を心配します。道子は横田が氏神への奉納相撲に出場することを告げ、鹿造に彼を制止するよう頼みますが、結果的には鹿造は横田に負けてしまいます。しかし、横田は根が悪い人物ではなく、道子と共に賞金を持って鹿造の元へ訪れ、結婚資金として手渡します。それを聞いた鹿造は、二人の未来を考え、賞金を押し返します。

物語のクライマックスでは、東京相撲が鹿造の住む田舎にやって来ます。鹿造はその際の検査役席という重要な役を任され、大変喜びます。この瞬間は彼にとって特別な意味を持ち、かつての力士としての誇りを感じる機会となります。

キャストとスタッフ

映画『やぐら太鼓』の登場人物には、鹿造を演じる二本柳寛をはじめ、藤原釜足（三太）、渡辺篤（落語家ぜん馬）、伊豆肇（横田）、高杉早苗（おさと）、杉葉子（道子）などの豪華キャストが揃っています。監督のマキノ雅弘と滝沢英輔の他、脚本を小国英雄や松浦健郎が手掛け、撮影は会田吉男が担当しました。音楽は服部良一により制作され、作品に彩りを添えています。

作品の評価と意義

『やぐら太鼓』は、力士の生活や夢、家族の絆を描いた作品として、多くの人々に親しまれています。日本の伝統文化を背景にした物語は、観客に感動を与え、相撲がもたらす価値を再認識させる機会を提供しました。

本作品は、1952年5月8日に日本で公開され、今もなお語り継がれる名作として位置付けられています。

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