ゆり3号a
ゆり3号a (BS-3a) の概要
ゆり3号a（BS-3a）は、日本の宇宙開発事業団（NASDA）が打ち上げた静止放送衛星であり、設計と製造は日本電気が担当しました。この衛星は、沖縄や小笠原などの離島も含む日本全国への一般家庭向けの直接衛星放送（DBS）サービスを提供するために開発されました。
打ち上げの詳細
ゆり3号aは、1990年8月28日に種子島宇宙センターからH-Iロケット7号機を用いて打ち上げられました。この打ち上げは、日本の衛星放送事業の将来を担う重要なステップとなり、多くの国民に新たな放送の形態を提供することが期待されました。
主な目的
この衛星の主な目的は、前任のゆり2号（BS-2）の機能を引き継ぎ、全国規模での直接衛星放送サービスを実現することでした。ゆり3号aは、従来の放送手段では難しかった地域へのサービス提供を可能とし、視聴者に新たなエンターテインメントの選択肢を提供しました。
特徴と機能
ゆり3号aは、静止衛星軌道に配置され、東経110度の位置で運用されました。これにより、日本の広範な地域で安定した通信が可能となり、家庭向けに多様な番組を届けることができました。特に、放送業界にとっては新たな時代の幕開けを象徴する衛星だったと言えるでしょう。
トラブルと対策
しかし、ゆり3号aには運用開始当初からトラブルが発生しました。1991年3月には、大規模な太陽フレアの影響により、衛星の太陽電池が劣化しました。その結果、夏至の頃には3本ある中継器のうち2本が正常に機能しなくなり、運用に支障をきたす事態となりました。
この問題に対処するため、NASDAは迅速な対応を行い、1991年5月から8月までの間、既に運用を終了していたゆり2号bを再度稼働させることにしました。NHK衛星第2テレビジョンは、この期間中にゆり2号bからの放送を復活させ、ゆり3号aとは別の衛星を利用して放送を続けることができました。一方で、NHK衛星第1テレビジョンは引き続きゆり3号aからの放送を行い、WOWOWは該当する時間帯に放送を休止せざるを得ませんでした。
結論
ゆり3号aは、宇宙放送事業において数多くの課題に直面しながらも、国内の衛星放送サービスの発展に大きく寄与しました。その後の技術革新や衛星開発においても、貴重な経験と教訓を残し続けています。このように、ゆり3号aは日本の宇宙産業における重要な一歩となりました。
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