りすぼん丸

りすぼん丸の歴史と悲劇

「りすぼん丸」（りすぼんまる）は、日本郵船が1920年に完成させた貨物船です。この船は、太平洋戦争中に悲劇的な運命を辿り、多くの人命を失う結果となりました。

船の概要

「りすぼん丸」は、対馬丸などと同じくT型貨物船系列に属する大型船で、起工は1919年のことです。特に「りま丸」や「りおん丸」と同じグループに分類され、竣工を迎えた1920年後、パナマ運河経由のニューヨーク行き定期線で活躍しました。しかし時が経つにつれ、競争相手の速力や燃費に劣り始め、1934年からは他の船と交代しつつ、ムンバイやヨーロッパ航路に移行しました。

徴用と軍艦としての運用

1971年、日本がアメリカと戦争状態に突入すると、「りすぼん丸」は1941年、陸軍によって徴用され、兵員輸送用に改装されました。この改装では、蚕棚と呼ばれる多段式ベッドが設置され、軍の物資輸送に対応できるようになりました。

「りすぼん丸」は1942年、フィリピンへの上陸戦としてルソン島ラモン湾へ向けて出航しましたが、様々な事件を経て運の尽きが訪れます。その年2月、同船は日本海軍の敷設した防潜網に引っかかり、大きな爆発を引き起こしました。その後、修理を受けて復旧しますが、再度の運命は待ち受けています。

撃沈と捕虜の輸送

1942年10月1日、最終的な運命が訪れます。「りすぼん丸」はアメリカの潜水艦「グルーパー」によって攻撃を受け、魚雷が命中。浸水し始め、乗船者たちは混乱の中に置かれました。この時、捕虜が多く乗船していたことが悪化を加速させます。

捕虜たちは運搬のために長い間にわたり不十分な状態で過ごしており、出航の直前には一部感染症が疑われる者も見受けられました。その時点で乗艦していたのは約1816人のイギリス兵で、過酷な環境での生活が送られていました。出港して間もなくアメリカの攻撃を受けたことで、「りすぼん丸」は多くの人命を失うことになりました。

撃沈の結果

撃沈後、多くの捕虜が救出されましたが、約850人が命を落としました。戦後、日本側はこの事件をプロパガンダの材料とし、アメリカを非難しましたが、国際的な抗議に対して冷静な姿勢で反論します。この出来事は日本における捕虜の扱いや戦争中の国際法ポジションに対する問題提起を含んでいました。

その後の影響

「りすぼん丸」の撃沈事件は、捕虜や戦争の歴史において重要なフラグメントとして記憶され続けています。この事件を通じて、傷ついた無数の人々の歴史と、それによる戦争の悲劇が問い直されています。日本の捕虜管理の問題も見直され、国家間の交流や理解の必要性が強調されました。捕虜の苦しみと彼らが話したいこと、亡くなった人々を思い出すことは、今後も人々の記憶にとどまり続けるでしょう。

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