るつぼ

るつぼ：高温実験に欠かせない耐熱容器

るつぼは、物質を高熱で溶解したり、合成したり、一定温度に保つために用いる耐熱性の容器です。その用途は多岐に渡り、化学分析、金属加工、そして様々な実験において重要な役割を果たしています。形状は一般的には湯のみ状ですが、歴史的には皿状のものも存在しました。

化学分析におけるるつぼ

化学分析では、重量分析や金属の溶融、灼熱、濾過などの工程でるつぼが使用されます。精密な分析には、るつぼのはさみ（トング）を用いて、るつぼを安全に操作することが重要です。

るつぼの素材

るつぼの素材は、用途や必要な温度によって異なります。白[[金]]、金、銀、ニッケル、鉄、石英、磁器、タンタル、ジルコニウムなど、様々な素材が用いられています。特に冶金やその関連研究では、アルミナ、ジルコニア、ベリリアなどの素材がよく使われます。また、大量の試料の分解や高温実験、電極を兼ねる用途には、黒鉛製のるつぼも使用されます。

るつぼの加熱

実験室レベルでは、ブンゼンバーナーや小型電気炉を用いてるつぼを加熱します。一般的なるつぼはガスバーナーで加熱しますが、高温になると赤外線放射が多くなり、温度上昇が遅くなるため、マッフルと呼ばれる覆いを使用することが一般的です。

るつぼの選定と注意点

るつぼを選ぶ際には、用途、加熱温度、素材からの不純物混入の可能性、耐食性、そして価格などを考慮する必要があります。高温になるとるつぼは膨張するため、材質によっては割れる可能性があります。特に、水による急冷は厳禁です。

様々なるつぼ

白[[金]]るつぼ

白[[金]]るつぼは、分析化学や特殊セラミックス製造など、不純物を極力避けたい分野で重宝されます。しかし、高温下では意外にも化学的安定性に欠ける面があり、注意が必要です。純粋な白[[金]]製のるつぼもありますが、機械的に弱いため、銅を2～5％添加したものが多く使われています。フッ素や塩素を含む雰囲気下での強熱、希塩酸と希硝酸の混合物（王水と同様の作用）による腐食、還元炎による炭素の溶解など、白[[金]]るつぼの劣化につながる要因には注意が必要です。また、重金属単体が生成される反応を行うと、白[[金]]が合[[金]]化して損傷を受ける可能性があります。白[[金]]るつぼは再生・修理に高額な費用がかかるため、取り扱いには細心の注意が必要です。

石英るつぼ

石英るつぼは恒量性に優れていますが、材質上肉厚になりやすく、十分な灼熱ができない場合があります。

金るつぼ

金は化学的に安定していますが、融点が1064℃と比較的低いため、高温での使用には制限があります。

アルミナルツボ

アルミナは熱膨張率が大きいため、急激な加熱は破損の原因となります。また、融液と反応しやすいという性質も持っています。

金製や白[[金]]製のるつぼは非常に高価であり、特に白[[金]]製は材料費の変動が大きいため、科学実験機器のカタログでは「時価」と記載されることが多いです。

濾過るつぼ

濾過専用のるつぼには、グーチるつぼやマンローるつぼなど様々な種類があります。

るつぼ炉

工業用途では、溶解炉や保温炉としてるつぼ炉が用いられます。半導体工場では石英製のるつぼが使用され、大型のものになると人が入れるほどのサイズもあります。光学ガラスの溶解には、かつてセラミックス製のものが用いられていましたが、現在は微量不純物の混入を防ぐため、白[[金]]製のものが使用されています。

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